世界の主要言語事典 - 語族・文字・特徴を総まとめ

英語から日本語まで、世界の主要言語13の語族と文字、特徴を紹介します。あわせて、語族・文字体系・国連公用語といった言語を比べるための基本的な見方も整理します。

英語(国連公用語)

インド・ヨーロッパ語族(ゲルマン語派)・ラテン文字。数十か国で公用語または公的な言語として使われ、国際ビジネス、学術、航空管制などで事実上の共通語(リンガ・フランカ)の役割を担っています。語彙にはフランス語やラテン語由来の単語が多く、ゲルマン系の言語でありながら語彙の半分近くがロマンス系というのが特徴です。綴りと発音の対応が不規則なことでも知られ、学習者にとって難所になります。

フランス語(国連公用語)

インド・ヨーロッパ語族(ロマンス語派)・ラテン文字。植民地支配の歴史から、アフリカの多くの国を含む数十か国で公用語として使われています。国連やオリンピックなど複数の国際機関で公式言語に採用されています。鼻母音、リエゾン(語をつなげる発音)、名詞の男性・女性の区別が学習のポイントで、書かれた綴りに発音されない文字が多いことでも知られます。

スペイン語(国連公用語)

インド・ヨーロッパ語族(ロマンス語派)・ラテン文字。スペインと中南米のほとんどの国で公用語として使われ、母語話者数では中国語に次ぐ規模の言語の一つとされます(統計は調査機関により異なります)。綴りと発音の対応が規則的で、日本語話者にとって母音の数が同じ5つで発音しやすいと言われます。巻き舌のr、動詞の活用の多さ、接続法が学習のハードルです。

ロシア語(国連公用語)

インド・ヨーロッパ語族(スラブ語派)・キリル文字。ロシアをはじめ旧ソ連諸国で広く使われています。ラテン文字ではなくキリル文字を使う代表的な主要言語で、文字を覚えれば発音はおおむね綴りどおりに読めます。名詞に6つの格があり、冠詞がない点も特徴です。ウクライナ語やブルガリア語など、キリル文字を使う他のスラブ系言語とは親戚関係にあります。

アラビア語(国連公用語)

アフロ・アジア語族(セム語派)・アラビア文字(右から左に表記)。中東と北アフリカの20か国以上で公用語とされています。イスラム教の聖典クルアーンの言語でもあります。書き言葉として共通の現代標準アラビア語(フスハー)があり、日常会話は地域ごとの方言(エジプト方言、レバント方言など)で大きく異なるため、方言どうしでは通じにくいことがあります。通常は母音を書かずに子音中心で表記します。

中国語(標準語)(国連公用語)

シナ・チベット語族・漢字。世界で母語話者数が最も多い言語の一つとして挙げられます。標準語(普通話)には4つの声調があり、同じ音節でも声調が違えば別の意味になります。文字は、中国本土などで使われる簡体字と、台湾や香港などで使われる繁体字に分かれます。発音をローマ字で表す方式にピンインがあります。文法は活用や格変化がなく、語順で意味を伝えるのが基本です。

ポルトガル語(欧州の主要言語)

インド・ヨーロッパ語族(ロマンス語派)・ラテン文字。ポルトガルのほか、ブラジル、アンゴラ、モザンビークなど複数の国で公用語として使われています。話者の大半はブラジルに住み、実質的には南米を代表する言語です。ブラジル式とポルトガル式で発音や語彙、一部の綴りが異なります。日本ではブラジルからの移民の歴史を通じて、日常的に耳にする機会があります。

ドイツ語(欧州の主要言語)

インド・ヨーロッパ語族(ゲルマン語派)・ラテン文字。ドイツ、オーストリア、スイスの一部地域などで公用語として使われ、欧州連合(EU)内で母語話者数が最も多い言語として知られています。名詞に男性・女性・中性の3つの性と4つの格があり、複合語を作って長い単語になるのが特徴です。名詞の頭文字を大文字で書く習慣や、ßなどの特殊文字もあります。

イタリア語(欧州の主要言語)

インド・ヨーロッパ語族(ロマンス語派)・ラテン文字。イタリア、サンマリノ、バチカンのほか、スイスの一部でも公用語として使われます。オペラやルネサンス芸術、音楽用語(アンダンテ、フォルテなど)の言語として知られています。発音は綴りに近く読みやすい一方、動詞の活用が豊富です。方言差が大きく、標準語は主にトスカーナ方言をもとに作られたとされます。

ヒンディー語(アジアの主要言語)

インド・ヨーロッパ語族(インド・アーリア語派)・デーヴァナーガリー文字。インドの複数ある公用語の一つで、英語とともにインド連邦政府の公式業務言語として使われています。デーヴァナーガリー文字で表記し、文字の上に横線が引かれるのが特徴です。話し言葉では、ウルドゥー語とほぼ通じ合うほど近い関係にあり、ウルドゥー語はパキスタンの国語でアラビア文字系の文字で書かれます。

ベンガル語(アジアの主要言語)

インド・ヨーロッパ語族(インド・アーリア語派)・ベンガル文字。バングラデシュの公用語であり、インド西ベンガル州の公用語でもあります。詩人ラビンドラナート・タゴールは1913年にアジア人として初めてノーベル文学賞を受賞しました。1952年の言語運動はバングラデシュ独立への流れに影響し、その記念日の2月21日はユネスコにより国際母語デーと定められています。

インドネシア語(アジアの主要言語)

オーストロネシア語族・ラテン文字。マレー語を基盤に標準化された言語で、世界で人口が4番目に多い国であるインドネシアの公用語です。数百といわれる地域言語を持つこの国で、民族を超えた共通語の役割を果たしています。文法は動詞の活用がなく、時制は副詞で表すなど、学習者にとって比較的取り組みやすいとされます。

日本語(アジアの主要言語)

日本語族(日琉語族)・ひらがな、カタカナ、漢字の併用。3種類の文字体系を組み合わせて使う独特な表記方式を持ちます。琉球諸語と同系統と考えられていますが、他の言語との系統関係は定説がなく、孤立した言語として扱われることもあります。敬語体系、助詞、動詞が文末に来る語順が特徴で、外国語として学ぶ人にとっては漢字の読み方の多さが大きな壁になります。

語族とは何か(比べ方の基本)

語族とは、共通の祖先となる言語(祖語)から分かれたと考えられる言語のグループです。英語とドイツ語は同じゲルマン語派、スペイン語とイタリア語は同じロマンス語派で、この二つの語派はさらに大きなインド・ヨーロッパ語族に含まれます。逆に、英語と日本語は語族が異なるため、基本の語彙や文法に共通点がほとんどありません。語族が近い言語ほど、学習時に似た単語や文法を見つけやすいと考えられます。

文字体系のタイプ

文字は大きく、音素文字(ラテン文字、キリル文字など)、子音中心の文字(アラビア文字など)、音節文字(かな)、表語文字(漢字)に分けられます。同じ言語でも複数の文字を併用することがあり、日本語は表語文字と音節文字を併用しています。文字と言語は必ずしも一対一ではなく、ラテン文字は英語、フランス語、インドネシア語など多くの言語で使われています。

国連の6つの公用語

国連の公用語は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の6つです。設立当初は5言語で、後にアラビア語が加わりました。公用語に採用されたのは、国際社会で広く使われていた言語と、主要国の言語です。この6言語は、会議の通訳や文書の翻訳が行われる対象になっています。

世界には一体いくつの言語があるのでしょうか

現在、世界には約7,000ほどの言語が存在すると推定されています。数え方によって数字が変わるのは、どこまでを別の言語とし、どこからを同じ言語の方言とするかの基準が一つではないためです。たとえば中国語の北京語と広東語は、文字は共通でも話し言葉では通じにくく、言語とみるか方言とみるかは意見が分かれます。一方で、使う人が数十人ほどにまで減った言語も多く、言語の多様性そのものが失われつつあるという指摘があります。ここで紹介する言語は、複数の国で公用語として使われていたり、国連などの国際機関の公式言語に採用されていたりする、国際社会で特に重要な役割を果たす言語です。

どの言語が「大きい」かは数え方次第

言語の大きさは、母語話者数で数えるか、第二言語として使う人も含めた総話者数で数えるかによって順位が変わります。母語話者数では中国語、スペイン語、英語などが上位に挙がり、総話者数では英語が最も多いとされます。また統計の出典や調査年によっても数字は異なるため、本ページでは順位や正確な人数は掲載していません。調べる際は、数字の出典と定義を確認することをおすすめします。

言語を学ぶときの選び方のヒント

学ぶ言語を選ぶとき、人口の多さだけで決める必要はありません。仕事で使うなら取引先の言語、旅行なら訪問先の言語、教養なら興味のある文化の言語、というように目的で選ぶと続けやすくなります。日本語話者の場合、文字体系が異なる言語は最初に文字の壁がありますが、インドネシア語やスペイン語のように発音が綴りに近い言語は入りやすいと言われます。ただし、習得にかかる時間は個人差が大きく、一概にどの言語が簡単とは言えません。

世界の挨拶表現も気になる方は

各国語の挨拶表現が気になる方は、世界の挨拶フレーズもあわせてチェックしてみてください。同じ挨拶でも、言語ごとに時間帯や相手との関係による使い分けがあり、言語の文化的な特徴を知る入り口になります。

よくある質問

どの言語が一番習得しやすいですか?

一般的に、母語と文法構造や語彙が似ている言語ほど習得しやすいといわれています。例えば日本語話者にとっては、文の構造が似ている韓国語が比較的取り組みやすい言語として挙げられることがあります。ただし、目標とするレベルや学習時間、環境によって大きく変わるため、一つの言語が誰にとっても簡単ということはありません。

国連の公用語はどうやって決まったのですか?

国連は設立初期、国際社会で広く使われていた主要言語を公用語として採用しました。英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語が先に採用され、その後アラビア語が追加されて、現在の6つの公用語になりました。

語族が同じなら言葉は通じますか?

必ずしも通じません。同じ語族でも分かれてから長い年月がたつと、語彙も文法も大きく変わります。英語とヒンディー語は同じインド・ヨーロッパ語族ですが、そのままでは通じません。一方、スペイン語とポルトガル語のように近い言語どうしは、ある程度理解できることがあります。

文字が同じなら同じ言語ですか?

いいえ。ラテン文字は英語、フランス語、ドイツ語、インドネシア語など多くの言語で使われていますが、それぞれ別の言語です。反対に、同じ言語が複数の文字で書かれる例もあります。文字は言語を書き表す道具の一つにすぎません。

消滅の危機にある言語はどれくらいありますか?

正確な数は調査により異なりますが、使う人が少なくなり次の世代に継承されない言語が世界に多数あるとされ、ユネスコなどが消滅危機言語として調査・保護活動を行っています。日本でもアイヌ語や琉球諸語が消滅危機言語として取り上げられています。