世界の有名クラシックカクテル事典 - マティーニ、モヒート、マルガリータなど

マティーニからマルガリータまで、世界中で愛されるクラシックカクテル12種を紹介します。ベースの酒、おおまかな由来、味の特徴、そして由来に諸説あるものはその点も添えました。カクテルの歴史は記録が少なく、逸話が混ざりやすい分野です。

マティーニ

ベース:ジン+ドライベルモット。発祥地:アメリカとされる説が有力ですが、諸説あります。オリーブやレモンピールを飾る、カクテルの代名詞とも呼ばれる一杯で、19世紀末から20世紀初頭に広まったといわれます。「振って、混ぜないで(shaken, not stirred)」は、映画で有名になったジェームズ・ボンドの注文の言葉で、伝統的なマティーニはステア(かき混ぜ)で作るのが一般的です。ジンとベルモットの比率で辛口の度合いが変わり、ベルモットを減らすほど辛口になります。

モスコミュール

ベース:ウォッカ+ジンジャービア+ライム。発祥地:アメリカ。銅製のマグカップで提供されるのが特徴で、1941年ごろにロサンゼルスのバーで生まれたという説が広く知られていますが、時期や経緯には異なる説もあります。ジンジャービアのピリッとした清涼感が特徴で、氷をたっぷり入れて冷たく飲みます。

コスモポリタン

ベース:ウォッカ+クランベリージュース+ライム+オレンジリキュール。発祥地:アメリカ。1980年代から90年代にかけて広まったピンク色のカクテルで、後にテレビドラマの影響で世界的に知られるようになりました。クランベリーの酸味とほのかな甘みで、飲みやすい一杯です。

ブラッディ・メアリー

ベース:ウォッカ+トマトジュース+香辛料。発祥地:パリまたはニューヨークとされ、1920〜30年代に誕生したと伝えられますが、考案者については複数の説があります。トマトジュースにウスターソースやタバスコ、胡椒、レモンなどを加えた独特の味で、ブランチの席で好まれます。セロリを添えて提供されることも多いです。

モヒート

ベース:ラム+ミント+ライム+砂糖+炭酸水。発祥地:キューバ。ミントの葉を潰して香りを引き出し、ライムと砂糖、ラム、炭酸水で仕上げる爽やかなカクテルです。小説家のアーネスト・ヘミングウェイが愛飲したという逸話でも有名ですが、この話の裏付けは確かではないともいわれます。

ダイキリ

ベース:ラム+ライム+砂糖。発祥地:キューバ。サンティアゴ・デ・クーバ近郊のダイキリという地名にちなんで名づけられたとされ、19世紀末から20世紀初めに生まれたと伝えられます。材料がシンプルなだけに、バーテンダーの技術の差が出やすく、ラムとライムの調和を味わう基本の一杯とされます。凍らせたフルーツを使ったフローズンスタイルも広く親しまれています。

ピニャコラーダ

ベース:ラム+ココナッツクリーム+パイナップルジュース。発祥地:プエルトリコ。1950年代にサンフアンのホテルのバーテンダーが考案したという説が有名ですが、考案者には諸説あります。後にプエルトリコを代表する飲み物として知られるようになりました。ココナッツとパイナップルの甘く南国らしい味が特徴で、クラッシュドアイスで作るのが一般的です。

マルガリータ

ベース:テキーラ+ライム+オレンジリキュール。発祥地:メキシコとされますが、アメリカの説もあり、由来は定まっていません。グラスの縁に塩をつけて飲むスタイルで有名です。テキーラ特有の力強い風味とライムの爽やかさ、オレンジリキュールの甘みが調和します。

オールドファッションド

ベース:ウイスキー+砂糖+ビターズ。発祥地:アメリカ。「カクテル」という言葉が19世紀初めに、酒・砂糖・水・ビターズを混ぜたものを指して使われた記録に由来する、最も古い型のカクテルの一つです。ウイスキー本来の味を生かすシンプルな構成で、大きな氷を入れたロックグラスで提供されます。

マンハッタン

ベース:ウイスキー+スイートベルモット+ビターズ。発祥地:アメリカ。19世紀後半のニューヨークで生まれたといわれ、特定のクラブでの逸話が有名ですが、確かな記録は乏しい状態です。都市名にちなんだ代表的なクラシックカクテルで、ライウイスキーを使うのが伝統的とされます。飾りにはマラスキーノチェリーを添えます。

ネグローニ

ベース:ジン+カンパリ+スイートベルモット。発祥地:イタリア。1919年ごろ、フィレンツェでカミッロ・ネグローニ伯爵が、アメリカーノのソーダをジンに替えて注文したのが始まりという説が最もよく知られています。カンパリのほろ苦さが特徴で、食前酒として楽しまれます。三つの材料を同量で合わせる、わかりやすい比率でも有名です。

ウイスキーサワー

ベース:ウイスキー+レモンジュース+砂糖。発祥地:アメリカ。19世紀半ばには存在し、1862年のバーテンダー向けの本にもレシピが載っているとされるクラシックな「サワー」系カクテルです。レモンの酸味とウイスキーの風味が調和し、さまざまなベース酒に応用できるサワーの原型とされます。

カクテルはどのように分類されるのか

カクテルは、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、ウイスキーなどのベース酒に何を加えるかで分類するのが一般的です。同じベース酒でも、組み合わせる材料によってまったく異なる味になります。作り方でも分けられ、材料を混ぜ合わせるステア、シェイカーで冷やしながら混ぜるシェイク、グラスの中で直接作るビルドなどの技法があります。ジュースなど混ざりにくいものを含むカクテルはシェイクで、透明に仕上げたいカクテルはステアで作るのが一般的です。

由来の話は、どこまで信じてよいのか

カクテルの由来は、バーの伝承として語り継がれてきたものが多く、誰が最初に作ったのかを確かめられる一次資料はあまり残っていません。マンハッタンやダイキリのように、一つの有名な逸話が広まっていても、別の説が存在するものがほとんどです。このページでは、広く知られている説をひとまず紹介しつつ、諸説あるものはそう書くようにしています。確実なのは、いずれも長年にわたり世界中のバーで作られ続けてきた定番であることです。

飲み方とグラスの基本

カクテルの形は、グラスで決まる面もあります。脚付きのカクテルグラスは冷たいまま飲む氷なしのカクテル(マティーニなど)、ロックグラスは氷を入れて飲むもの(オールドファッションドなど)、背の高いタンブラーは炭酸やジュースで割るもの(モヒートなど)、銅のマグはモスコミュール、といった具合です。グラスを事前に冷やしておくと、ぬるくなりにくくなります。

知っておくとよい豆知識

このページは各カクテルの由来や特徴を紹介する教養コンテンツであり、実際の作り方や正確な材料の比率を案内するものではありません。飲酒は法定飲酒年齢以上の成人のみ可能で、年齢は国や地域によって異なります。飲酒運転は絶対にしないこと、体調や持病、服用している薬によっては飲酒を避けるべき場合があることも、あわせて覚えておいてください。適量を守り、責任ある飲酒を心がけましょう。

よくある質問

「クラシックカクテル」とはどういう意味ですか?

長年にわたり作られ続け、安定した配合で愛され続けてきたカクテルを、一般にクラシックカクテルと呼びます。ここで紹介したものは、今日でも世界中のバーで基本とされる定番です。

アルコール度数が最も低いカクテルはどれですか?

炭酸水やジュースで割る割合が大きいモスコミュールやピニャコラーダなどは、比較的軽く感じられることが多いです。ただし、実際の度数は作り方や配合によって大きく変わり、ネグローニやマンハッタンのように酒だけで作るものは強めになります。

初心者に飲みやすいカクテルはどれですか?

甘みと酸味のバランスがよく、ジュースやソーダで割るものが一般に飲みやすいとされます。ピニャコラーダ、コスモポリタン、モスコミュールなどが例に挙がりますが、見た目より強い場合もあるので、ゆっくり飲みましょう。

自宅でクラシックカクテルを作るときに最低限必要な道具は?

一般には、シェイカー、メジャーカップ、バースプーン、ストレーナーなどがあるとよいとされます。慣れないうちは材料の量を正確に量ることが、味を安定させる近道です。

カクテルの名前の由来には、どんなパターンがありますか?

地名にちなむもの(マンハッタン、ダイキリ)、人名にちなむもの(ネグローニ)、材料や見た目を表すもの(ブラッディ・メアリー)など、さまざまです。いずれも逸話が多く、後世に作られた話も混ざっています。