なぜQRコードだけでWiFiにつながるのか
QRコードは文字を収めた図にすぎません。スマートフォンのカメラが読み取った文字が WIFI: で始まっていると、WiFiの接続情報として解釈し、「このネットワークに接続しますか」と表示します。この形式はAndroid向けバーコードライブラリ(ZXing)を通じて広まったもので、現在のiOSやAndroidの標準カメラが同じ形式を読み取ります。このツールが作る文字列の構成は次のとおりです。
WIFI:はWiFi情報であることを示す目印S:名前;はSSID(ネットワーク名)T:WPA;はセキュリティ方式で、WPA・WEP・nopassのいずれか。WPA2やWPA3のルーターも通常はWPAで接続できます。P:パスワード;は暗号キー。暗号化なしの場合は空にします。H:true;はステルスSSIDのときだけ追加- 最後にもう1つ
;を付けて終わりを示します。
完成例は WIFI:S:HomeWiFi_5G;T:WPA;P:myPassw0rd2024;;(43文字)です。このツールはこの文字列を組み立ててQR画像として描くだけで、結果の下にパスワードを * で隠した同じ文字列を表示するので、読み取り結果と見比べられます。
特殊文字の扱い
文字列の中で ; : , " \ は区切りなどに使われる文字です。名前やパスワードにこれらが含まれる場合は、直前にバックスラッシュ(\)を付けて「区切りではなく文字そのもの」と示す必要があり、このツールは自動で処理します。
| 入力した値 | 特徴 | QRに入る値 |
|---|---|---|
Cafe;Free | セミコロンを含む | Cafe\;Free |
My:Wi,Fi | コロンとカンマを含む | My\:Wi\,Fi |
pass"word | ダブルクォートを含む | pass\"word |
a\b | バックスラッシュを含む | a\\b |
パスワードの前後の空白はパスワードの一部として残しますが、SSIDの前後の空白は入力ミスと見て取り除きます。名前の途中の空白は維持されます。
QRコードのサイズと誤り訂正レベル
QRコードは収める文字が増えるほどマス(モジュール)の数が増え、誤り訂正レベルを上げるほど汚れや欠けに強くなる代わりにパターンが細かくなります。復元できる割合の目安はLが約7%、Mが約15%、Qが約25%、Hが約30%です。次の表は、同じWiFi情報をこのページのライブラリで作ったときの大きさ(型番と1辺のマス数)です。
| 例 | 文字数 | L | M | Q | H |
|---|---|---|---|---|---|
| 短い名前 + 数字8桁 | 30 | 2型 (25×25) | 3型 (29×29) | 3型 (29×29) | 4型 (33×33) |
| 一般的な家庭用(名前11文字、パスワード14文字) | 43 | 3型 (29×29) | 3型 (29×29) | 4型 (33×33) | 5型 (37×37) |
| カフェのゲスト用(名前23文字、パスワード30文字) | 71 | 4型 (33×33) | 5型 (37×37) | 6型 (41×41) | 8型 (49×49) |
| 最大長(名前32文字、パスワード63文字) | 113 | 5型 (37×37) | 6型 (41×41) | 8型 (49×49) | 10型 (57×57) |
画面に表示して読み取るなら標準のMで十分です。ルーターに貼ったりカフェのテーブルに印刷したりして、折れ・反射・汚れが起こりうる場合はQかHを選び、パターンが細かくなるぶん印刷サイズを一辺3cm以上、できれば4~5cmにしてください。周囲の白い余白(クワイエットゾーン)を切り落とさないことも大切です。
計算例: 長さでQRはどれだけ大きくなるか
例1) 名前 HomeWiFi_5G(11文字)とパスワード myPassw0rd2024(14文字)は、接頭辞と区切りを含めて43文字になり、誤り訂正Mで3型(29×29マス)です。 例2) 名前32文字とパスワード63文字(ルーターが許す最大長)は113文字で、Mでは6型(41×41マス)になります。同じ大きさで印刷するなら後者のほうがマスが小さくなるので、パスワードが長いほど印刷サイズを大きくするのが読み取りには有利です。
パスワード長の確認基準
WPA/WPA2パーソナルのパスフレーズは8~63文字(または64桁の16進数)で、範囲外はルーターが受け付けないため、このツールはWPAで8文字未満のときに警告します。WEPは一般にASCII 5文字または13文字(16進なら10桁または26桁)のキーを使うので、それ以外の長さでは確認を促します。暗号化なしではパスワードは無視されます。これらは入力ミスに気づくための警告で、実際の設定はルーター側が優先です。
補足として、SSIDの長さ制限は文字数ではなく32バイトです。日本語の名前は1文字で複数バイトを使うため、32文字よりずっと早く上限に達します。WPAのパスフレーズは802.11規格上ASCII文字として定義されているので、日本語のパスワードは避けるのが安全です。また、ZXingの説明には、名前やパスワードが16進数のように見える値(例: ABCD)のときは二重引用符で囲むという記述がありますが、このツールは自動では引用符を付けません。数字とA~Fだけの値でつながらない場合は、端末ごとの解釈の違いを疑ってください。
この情報は安全に扱われますか
入力したWiFi名とパスワードは、ブラウザの中だけでQRコードに変換されます。このページはブラウザ内で動くQRライブラリを使い、入力内容を外部へ送信する処理を持たないため、サーバーに送られたり保存されたりしません。ただし、できあがったQR画像そのものにはパスワードが暗号化されずに入っています。QRを読み取れる人なら誰でもパスワードを知ることができるので、次の点に気をつけてください。
- メインのネットワークのQRを公共の場所に貼らないでください。 来客用のゲストネットワークを別に作り、そのQRだけを共有しましょう。多くのルーターにゲストWiFi機能があります。
- QR画像をメッセージやメールで送ると、履歴にパスワードが残ります。必要な人にだけ送り、来客用なら定期的にパスワードを変えましょう。
- ダウンロードされるファイル名にSSIDやパスワードは入りませんが、画像自体がパスワードなので、自動バックアップされる写真フォルダなどに置きっぱなしにしないでください。
- パスワードを変えると、以前作ったQRは使えなくなります。印刷物は作り直して差し替えてください。
読み取れないときの確認手順
- カメラアプリでQRの読み取りが有効かを確認します。端末によっては設定でオフになっています。
- セキュリティ方式が合っているかを確認します。WPA3専用(SAE専用)の設定や、ID・パスワード方式の企業向けネットワークは、この形式で表せなかったり端末によって挙動が違ったりします。WPA2/WPA3の混在モードにすると解決することが多いです。
- ステルスSSIDなのにチェックを入れていないと接続に失敗します。逆に公開されているのにチェックしても通常は問題ありませんが、不要です。
- 特殊文字と大文字小文字を確認します。パスワードは大文字小文字を区別し、名前に見えない空白がないかも見てください。
- 印刷品質: 明るい場所で20~30cm離して読み取ります。ぼやけていたり小さすぎたりする場合は、誤り訂正をQ/Hに上げて大きく出力してください。
- それでもだめなら、読み取り後に表示された文字列をコピーして、このページの「接続文字列」と比べます。
よくある誤解と限界
- 「読み取ってもパスワードは見えないから安全」は誤解です。端末に保存された後は表示されなくても、QRを解読すれば平文です。
- すでに接続している端末の代わりにはなりません。 読み取りは、新しい端末が接続情報を手入力する手間を省くだけです。
- 公共の場で出どころの分からないQRからWiFiに接続するのは危険なことがあります。偽のWiFiへ誘導される例があるので、信頼できるQRだけを読み取ってください。
- リンクや文字のQRが必要な場合はQRコード生成機を使ってください。
- パスワード自体が弱いなら、QRより先にそちらを変えるのが先決です。パスワード生成機で十分な長さのランダムなものを作れ、パスワード強度チェッカーで今のものを確認できます。
作ったQRコードの使い方
来客用なら玄関やリビングに額に入れて置き、「カメラを開いてこのQRに向けてください」と案内すれば、パスワードを口頭で伝える必要がなくなります。お店ならテーブルスタンドにSSIDも一緒に印刷し、読み取れない端末でも手入力できるようにしておきましょう。テレビ、プリンター、スマートスピーカーのようにカメラのない機器は、機器の画面から直接入力する必要があります。ルーターを交換したりパスワードを更新したりするたびに新しいQRを作って差し替える習慣をつけておくと、古いQRによる混乱を防げます。
よくある質問
すべてのスマートフォンで読み取れますか?
最近のiOSやAndroidの標準カメラアプリならほとんどで自動認識されます。古い端末やメーカー独自のカメラでは別のQRアプリが必要なことがあり、カメラのないパソコンやテレビでは手入力が必要です。
通常のQRコード生成機とどう違いますか?
通常のQRはURLや文字を収めますが、これはWiFi自動接続用の標準形式の文字列を収めるため、読み取るとすぐ接続の確認画面が出ます。特殊文字のエスケープやステルスSSIDの指定も自動で行います。
WPA3のルーターではどの方式を選べばよいですか?
多くのWPA3ルーターはWPA2との混在モードで動くので、「WPA/WPA2/WPA3」を選べば大丈夫です。WPA3専用モードへの対応は端末によって異なるため、読み取っても接続できない場合はルーターを混在モードにしてみてください。
パスワードを変えたらQRも作り直す必要がありますか?
はい。QRには作成時点のパスワードが入っているため、パスワードや名前を変えたら新しく作り直してください。
ステルスSSIDはどう設定しますか?
「ステルスSSID」のチェックを入れると、接続文字列に H:true が加わり、読み取った端末が名前を公開していないネットワークを探して接続を試みます。
画像ファイルはどこに保存されますか?
「画像をダウンロード」を押すと、ブラウザの標準のダウンロード先にPNGファイル(wifi-qrcode-playinfobox.png)が保存されます。サーバーを通らず、端末の中だけで作られます。