マジックパケットの中身は実際何なのか
Wake-on-LANの「マジックパケット」は、先頭に0xFFの6バイト、その後に対象機器のMACアドレスを16回連続して並べた、合計102バイトのデータを含む特殊なパケットです。通常は同じネットワークセグメントへのブロードキャストとしてUDPで送られますが、アダプターが見ているのはこのパターンだけで、ポート番号そのものは重要ではありません。パソコン本体の電源が切れている間も、ネットワークアダプターは極めて低い消費電力の待機状態を保ちながら、このパターンだけを監視し続けています。それを検知すると、マザーボードに信号を送ってシステムの電源を入れます。
Wake-on-LANがうまく動かない時のチェックリスト
よくある原因は、まず高速スタートアップです。次に、BIOS/UEFI側の省電力設定(ErPなど)で待機中の給電が止まっている場合があります。電源タップのスイッチや電源ユニット(PSU)本体のスイッチで電源が完全に切られている場合も、アダプターが待機状態を保つ電力そのものがないため機能しません。そのほか、無線LAN経由のWOLはほとんどの環境で期待できないこと、ルーターが別のサブネットへのブロードキャストを通さないこと、ノートパソコンでは省電力のためバッテリー駆動時にWOLが無効になっていることもあります。LANケーブルを挿したままで、アダプターのリンクランプが電源オフ時も点灯または点滅しているかも、有力な手がかりになります。
どんな場面で役に立つのか
外出先から自宅のデスクトップPCにリモートデスクトップで接続したい、家のNASやメディアサーバーを必要な時だけ使いたい、といった使い方が代表的です。会社や学校の管理者が、夜間にパソコンを一斉に起動して更新作業を行う場面でも使われます。常時起動と比べると、消費電力と機器の発熱を抑えられるのが利点です。一方で、起動に数十秒から数分かかるため、すぐに使いたい用途には向きません。
セキュリティ上の注意
マジックパケットにはパスワードがなく、MACアドレスを知っていれば誰でも送れてしまいます。そのため、インターネットに直接公開するのは避け、VPNを併用するか、ルーターのアクセス制限を設定してください。起動できても、その先のリモートデスクトップやSSHの認証が弱ければ意味がありません。強力なパスワードと更新されたOSで守ることも忘れないでください。
よくある質問
Wake-on-LANはWi-Fi経由でも機能しますか?
ほとんどの環境では安定して機能しません。多くのWi-Fiアダプターは、省電力状態でアクセスポイントとの接続が切れてしまい、マジックパケットを待ち受け続けられないためです。一部にWake on Wireless LANに対応した機種もありますが例外的です。遠隔起動したいパソコンには、有線LAN接続をおすすめします。
VPNなしでインターネット経由のWake-on-LANはできますか?
可能な場合もあります。ルーターでUDPポートを転送し、DDNSで自宅に到達できるようにする方法ですが、その分ポートを外部に公開することになります。公開したくない場合は、先にVPNで自宅ネットワークに接続してから起動信号を送るほうが安全です。
シャットダウンでは動かず、スリープなら起動できます。なぜですか?
高速スタートアップや、シャットダウン時の電源状態(S5)でアダプターへの給電が止まる設定が原因であることが多いです。高速スタートアップを無効にし、BIOS/UEFIの省電力設定を見直して再テストしてみてください。それでも改善しない場合は、機種によってシャットダウンからのWOLに対応していない可能性もあります。
ノートパソコンでも使えますか?
機種によります。有線LANポートを持つノートで、BIOS側とOS側の設定が整っていれば動作することがありますが、バッテリー駆動時や省電力設定によって無効化されている場合もあります。USB接続の外付けLANアダプターは対応していないことが多い点にも注意が必要です。
起動信号を送ったのに、何も起きません。最初に何を確認すべきですか?
まず、対象パソコンの有線LANのMACアドレスを送っているか、LANケーブルが接続されているか、同じネットワークからテストしているかを確認します。次にBIOS/UEFI、OS側アダプター、高速スタートアップの3点を順に見直してください。