米国国債を直接購入する方法

米国国債を直接購入する前に、表面利子と値上がり益(キャピタルゲイン)の違いを理解しておくと役立ちます。

米国国債とは何か

米国国債は米国連邦政府が発行する債券で、満期によって1年以内の短期国庫証券(T-Bill)、2~10年の中期国庫証券(T-Note)、20~30年の長期国庫証券(T-Bond)に分かれます。米国政府が発行体であることから、デフォルト(債務不履行)リスクが非常に低い資産の一つとされ、ポートフォリオにおける安全資産の中核としてよく利用されます。

直接購入する2つの主な方法

米国居住者は、米財務省が運営するTreasuryDirect.govで新規発行の国債を最低100ドル・100ドル単位から、手数料なしで購入できます。口座開設には社会保障番号、米国の住所、米国の銀行口座が必要です。購入した債券を売却するには、一定期間(45日間がよく挙げられます)保有したうえで証券会社へ移管する必要があります。米国外の投資家や、既発債を機動的に売買したい投資家は、通常は証券会社の口座を通じて取引します。

表面利子と早期売却による値上がり益の違い

多くの米国国債は年2回、決まった表面利子(クーポン)を支払い、これは通常の利子所得として扱われます。一方、額面より安い価格でセカンダリー市場から購入し、満期前に高い価格で売却した場合、その差額は一般的にキャピタルゲイン(値上がり益)として利子所得とは別に扱われます。ただし、具体的な区分や税率は投資家自身の居住国の税制によって異なるため、特定の扱いを前提にせず、最新の情報を確認してください。

ゼロクーポン国債(STRIPS)

通常の国債の利子部分と元本部分を分離して作られることが多いゼロクーポン国債は、定期的な利払いを行わない代わりに額面より割安な価格で購入し、満期時に額面金額を受け取る仕組みです。注意点として、米国では通常の課税口座で保有する場合、実際に現金を受け取っていなくても毎年みなし利子所得(OID)として課税対象になることが多く、そのため税制優遇口座で保有されることが多い商品です。

米国外の投資家にとっての為替リスク

米国国債は米ドル建てであるため、自国通貨が米ドルではない投資家にとっては、債券自体の価格変動に加えて為替変動リスクも生じます。自国通貨に換算した際、ドル高であればリターンが上乗せされ、ドル安であればリターンが目減りします。

投資前に確認したいポイント

満期まで保有するのか、途中で売却する可能性があるのかによって考慮すべき流動性が変わってきます。満期前に売却すれば価格変動リスクがありますが、満期まで保有すればそのリスクはありません。最低購入金額、購入可能な満期の種類、取引手数料、そして保有形態(TreasuryDirectでの自己名義保有か、証券会社を通じた「ストリートネーム」保有か)はサービスによって異なるため、比較したうえで選ぶことが重要です。

新規発行債は入札(オークション)で価格が決まる

財務省は定期的に入札で新発債を販売します。一般の投資家は「ノンコンペティティブ入札」を使い、入札で決まった利回りをそのまま受け入れる形で購入するため、利回りを予想する必要はありません。たとえばTビルを額面100に対して98で購入し満期まで保有すれば、差額の2が収益となり、表示される利回りはこれを年換算したものです。

物価連動債と変動利付債

物価連動国債(TIPS)は5年・10年・30年で発行され、元本が消費者物価指数に連動して増減し、利払いも調整後の元本に対して計算されます。変動利付債(FRN)は2年満期で、13週Tビルの入札結果に連動して四半期ごとに利払いされます。インフレや金利変動が気になる投資家向けですが、利回りや課税の扱いは通常の国債と異なります。

満期が長いほど価格変動は大きくなる

30年債は3か月のTビルよりも、金利が動いたときの価格変動がはるかに大きくなります。目安として、デュレーションが10の債券は金利が1ポイント上昇すると価格が約10%下がります。満期まで保有すれば価格変動の影響は受けませんが、その間は当初の利回りに固定される機会費用が残ります。

満期を分散する「ラダー運用」

1年・2年・3年といった異なる満期の債券に資金を分け、毎年一部が満期を迎えるようにする方法です。満期になった分は、その時点の金利で再投資するか現金として使えます。一度にすべてを固定するリスクを避け、現金の流れも予測しやすくなります。

投資家の立場によって異なる2つのルート

米国の銀行口座と社会保障番号を持つ米国市民・居住者は、証券会社を介さずTreasuryDirect.govから政府より直接購入でき、セカンダリー市場での売買は行いません。それ以外の投資家、そして満期前に売却したい米国投資家も含めて、通常は証券会社の口座を通じて取引します。この場合、より幅広い既発債にアクセスできますが、売買スプレッドや手数料が発生することがあります。

利子は一般的にどのように課税されるか

米国では、国債の利子は連邦所得税の対象になりますが、州税・地方税は一般的に非課税とされており、これは同等の州債や社債と比べた際の利点の一つです。米国外の投資家は、それぞれの居住国における海外源泉の利子所得に関する規定に基づいて課税され、上記の米国の扱いとは大きく異なる場合があります。このページは一般的な原則の紹介にとどまり、個々の状況に応じた税務助言ではありません。税制は改正されたり国によって異なったりするため、投資前に最新の規定を確認するか、税務の専門家にご相談ください。

日本の投資家が証券会社経由で買う場合の注意

日本の証券会社の多くは外貨建ての米国債を取り扱っており、手数料や為替スプレッド、最低購入額が会社ごとに異なります。円から米ドルへの両替コストは見落としやすく、売買のたびに往復で発生するため、実質利回りに影響します。また為替が円高に動くと、円換算の元本が目減りすることがあります。利子や償還差益の税務上の扱いは、居住地の税制や保有方法によって変わるため、最新の情報を証券会社や税理士に確認してください。

デフォルトリスクが低くても損失の可能性はある

米国債は債務不履行のリスクが低い一方で、金利上昇による価格下落、インフレによる購買力の低下、外貨建ての場合の為替変動、満期後に低金利で再投資を迫られるリスクがあります。満期前に売却すると元本割れになることもあります。本ページは一般的な情報であり、投資助言ではありません。ご自身の運用期間やリスク許容度に合わせて判断してください。

よくある質問

米国国債は少額からでも購入できますか?

TreasuryDirectを通じてであれば最低100ドルから購入できます。証券会社経由の場合、最低購入金額や端数(小数点)購入への対応は証券会社ごとに異なるため、利用を検討している証券会社の情報を確認してください。

債券価格と利回りが逆方向に動くとは、具体的にどういう意味ですか?

市場金利が上昇すると、新しく発行される債券はより高い表面利子を提供するため、既存の低い表面利子の債券は、元の価格のままでは相対的に魅力が下がります。そのため市場価格が下落して調整され、逆に金利が下がれば既存債券の価格は上昇します。この関係は満期前に国債を売却する人に影響しますが、満期まで保有して額面金額をそのまま受け取る投資家には影響しません。

米国債の利子は米国の州税の対象になりますか?

米国の納税者の場合、国債の利子は連邦所得税の対象ですが、州税・地方税は一般的に非課税です。米国外の投資家の扱いは居住国の税制によって異なります。

購入後に途中で現金化したくなったらどうなりますか?

証券会社で保有している場合は流通市場で売却できますが、売却時の市場価格によっては購入価格を下回ることがあります。TreasuryDirectで購入した債券は、まず証券会社へ移管してから売却する流れになるため、時間がかかる点に注意が必要です。

入札で買うのと流通市場で買うのは何が違いますか?

入札では財務省から新発債を入札で決まった利回りで直接購入します。流通市場では他の投資家が保有する既発債を時価で購入するため、価格が額面を上回ることも下回ることもあり、得られる利回りもその価格によって変わります。