この計算機は、入力した数値リストの平均・中央値・最頻値・分散・標準偏差・範囲・個数・合計を一度に求めます。 母集団(nで割る)と標本(n − 1で割る)の値を並べて表示するので、教科書や表計算ソフト、レポートの指定に合わせて選べます。 テストの点数のばらつき確認、実験の測定値の散らばり、毎月の支出や売上の変動など、平均だけでは説明できない場面を想定しています。 結果の下には、合計・平均・偏差平方和までの計算過程を文章で示すので、手計算や表計算ソフトの値と突き合わせられます。
各統計量の意味
- 平均(算術平均): すべての値を足して個数で割った値。全部の値が計算に入るため、極端な値に引っ張られます。
- 中央値: 値を大きさの順に並べたときの真ん中の値。個数が偶数なら中央の2つの平均を取ります。極端な値の影響をほとんど受けません。
- 最頻値: もっとも多く現れた値。すべての値が1回ずつなら最頻値はなく、同じ最多頻度の値が複数あればすべて表示します。
- 分散: 各値と平均との差(偏差)を2乗して平均した値。単位が元データの2乗になるため、直感的には読みにくい指標です。
- 標準偏差: 分散の平方根で、元データと同じ単位です。「値は平均からおよそこの程度離れている」と読みます。
- 範囲: 最大値 − 最小値。計算は最も簡単ですが、両端の2つの値しか反映しません。
計算式と、nとn − 1の違い
平均 x̄ = Σx ÷ n
母分散 σ² = Σ(x − μ)² ÷ n、母標準偏差 σ = √σ²
標本分散 s² = Σ(x − x̄)² ÷ (n − 1)、標本標準偏差 s = √s²
どちらを使うかは、手元のデータが「全体」か「一部」かで決まります。クラス全員の点数のように対象すべてを持っているなら母集団の式(n)です。アンケート回答や、製品の一部を測った値のように、より大きな集団から取り出した標本なら標本の式(n − 1)を使います。 標本平均は標本内の値に最も近くなるように決まるため、nで割ると全体のばらつきを平均的に小さく見積もってしまいます。そこで分母をn − 1にして補正します(ベッセルの補正)。 ExcelではSTDEV.Sがn − 1、STDEV.Pがnで割ります。電卓や統計ソフトによって初期設定が違うため、報告書に書くときはどちらかを明記しましょう。
2つの値の比は√(n ÷ (n − 1))で、データが少ないほど差が大きくなります。
| データ数 n | 標本SD ÷ 母SD | 標本SDが大きくなる程度 |
|---|---|---|
| 2個 | 1.4142 | 約41.4% |
| 3個 | 1.2247 | 約22.5% |
| 5個 | 1.1180 | 約11.8% |
| 10個 | 1.0541 | 約5.4% |
| 30個 | 1.0171 | 約1.7% |
| 100個 | 1.0050 | 約0.5% |
nが30を超えると差は2%未満になり実務ではあまり問題になりませんが、2~5個のような少数データでは10~40%以上開きます(n = 2では約41.4%)。
計算例
下の表は、このページをビルドするときに計算機と同じ式で計算した値です。
| データ | 平均 | 中央値 | 母SD | 標本SD |
|---|---|---|---|---|
| テストの点数5件 (85, 90, 78, 92, 88) | 86.6 | 88 | 4.88 | 5.46 |
| 毎月の支出6件 (30, 32, 35, 31, 33, 300) | 76.83 | 32.5 | 99.82 | 109.34 |
| 教科書の例題8件 (2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9) | 5 | 4.5 | 2 | 2.14 |
例1 テストの点数 85, 90, 78, 92, 88。合計は433なので平均は433 ÷ 5 = 86.6です。偏差平方和は119.2で、母分散は119.2 ÷ 5 = 23.84、母標準偏差は約4.88。標本として扱うなら119.2 ÷ 4 = 29.8、標準偏差は約5.46です。点数は平均86.6点を中心に、おおよそ前後5点の範囲で動いていると読めます。
例2 外れ値のある毎月の支出 30, 32, 35, 31, 33, 300。1か月だけ300があると平均は約76.83に跳ね上がりますが、中央値は32.5のままで、ふつうの月をよく表しています。母標準偏差は約99.82と平均より大きく、この平均が「ふつうの月」ではないことを数字が示しています。このようなときは平均だけでなく中央値も併記しましょう。
例3 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9。平均は5、偏差平方和は32、母分散は32 ÷ 8 = 4、母標準偏差はちょうど2です。最頻値は4、中央値は4.5。統計の教科書によく出る手計算用の例題なので、計算機の検証に向いています。
例4 個数が偶数のとき。1, 3, 5, 9の中央の2つは3と5なので中央値は(3 + 5) ÷ 2 = 4、平均は18 ÷ 4 = 4.5です。
よくある間違いと誤解
- 標準偏差が小さいほど良い? そうとは限りません。良し悪しではなくばらつきの大きさです。製造の品質では小さいほうが望ましく、投資の収益率では大きいほどリスクが高くなります。
- 単位の違うSDを直接比べる。身長(cm)のSD 7と体重(kg)のSD 10は比較できません。変動係数(SD ÷ 平均)や標準化した得点を使います。
- 平均 ± 1SDに必ず68%が入る? これは釣鐘型の正規分布に近いときの目安です。所得や住宅価格のように偏った分布では当てはまりません。
- グループごとの平均を単純に平均する。人数の違うグループの平均は、人数で重み付けして全体の平均を出します。クラス平均2つをそのまま平均すると値がずれます。
- データが1個のときの標本SD。n − 1が0になり定義できません。この計算機では「-」と表示します。
この計算機でできないこと
信頼区間、仮説検定、回帰分析、加重平均、度数分布表(階級ごとの度数)から求める平均や分散は扱いません。四分位数やパーセンタイルも出さず、外れ値の自動除去もしないため、小数点の位置違いなどの入力ミスは自分で見つけて直す必要があります。数値として読めない項目は無視し、無視した項目は結果の下に表示します。
結果の活用方法
- 平均と中央値が大きく違うときは、外れ値や偏った分布を疑い、値のリストを見直しましょう。
- 標準偏差を平均で割る(変動係数)と、平均の規模が違う2つのグループの安定性を比べられます。
- ある値の位置を知りたいなら、z = (値 − 平均) ÷ SDを計算すると、平均から何SD離れているかがわかります。
- 報告書には「平均86.6、標本SD 5.46 (n = 5)」のように、SDの種類と個数を併記します。
よくある質問
数値はどんな形式で入力しますか?
カンマ、スペース、セミコロン、改行のどれで区切っても認識します。表計算ソフトの列をコピーして貼り付けてもかまいません。負の数や小数も使え、数値でない項目は無視されます。
母標準偏差と標本標準偏差のどちらを使えばよいですか?
手元のデータが対象全体なら母標準偏差(n)、より大きな集団から取り出した一部なら標本標準偏差(n − 1)です。アンケート・実験・品質検査のように一部から全体を推定する場合は、ほとんどが標本のほうです。
分散と標準偏差はどう違いますか?
標準偏差は分散の平方根です。分散は数学的に扱いやすく(独立な量の分散は足し合わせられる)、標準偏差は元データと単位が同じで解釈しやすい指標です。
値が偶数個のとき、中央値はどう求めますか?
大きさの順に並べて、真ん中の2つの平均を取ります。たとえば1, 3, 5, 9の中央値は(3 + 5) ÷ 2 = 4です。
Excelと結果が違います。
多くはSTDEV.P(母集団)とSTDEV.S(標本)の取り違えです。この計算機は両方を表示するので、Excelの関数に合うほうと比べてください。表示は小数第4位で丸めています。
外れ値があるときはどうすればよいですか?
入力ミスなら修正・削除します。実際の値なら消さずに、平均と一緒に中央値を報告するか、外れ値を含む場合と除いた場合の両方を示すのが誠実な方法です。
関連ツール
結果は参考用です。論文や品質報告などの公式な用途では、統計の専用ソフトで再確認してください。