ペース・速度・距離・タイムは1つの式でつながっている
ランニングで使う数字は、突き詰めると「どれだけ走ったか(距離)」「どれだけかかったか(タイム)」「その結果どれだけ速かったか(速度やペース)」の3つです。 2つが決まれば残りも自動的に決まります。この計算機は、その関係を求めたい方向に解いているだけです。
- 1km当たりのペース(秒) = 総タイム(秒) ÷ 距離(km)
- 平均速度(km/h) = 3,600 ÷ 1km当たりのペース(秒) = 距離(km) ÷ 時間(時間)
- 総タイム = 距離 × 1kmのペース、距離 = 総タイム ÷ 1kmのペース
- 1マイル当たりのペース = 1kmのペース × 1.609344(1マイル = 1.609344km)
ペースは「数字が小さいほど速い」ので、速度とは向きが逆です。5:00/km は時速12.0km、6:00/km は時速10.0kmです。 速度の差は2割ほどに見えますが、10kmでは10分の差になります。また、ペースは時間で合算して扱う必要があります。 最初の5kmを5:00、残りの5kmを6:00で走ると、10kmの平均ペースは5:30です。時速12kmと10kmを単純に平均して11km/hとするのは誤りで、 遅いほうに長く時間を使うため、実際の平均速度は約10.9km/hになります。
検算した計算例
例1:距離とタイムからペースを求める。10kmを50分00秒で走ると、3,000秒 ÷ 10km = 300秒/kmで、5:00/km です。 平均速度は12.0km/h、マイルペースは 300 × 1.609344 = 482.8秒で約 8:03/マイル、トラック400mの1周は 300 × 0.4 = 120秒、つまり2:00です。
例2:目標ペースから完走タイムを求める。ハーフ(21.0975km)を5:30/km(330秒)で走ると、330 × 21.0975 = 6,962秒で約 1:56:02。 同じペースでフル(42.195km)なら 330 × 42.195 = 13,924秒で約3:52:04です。
例3:タイムとペースから距離を求める。6:00/kmで45分走ると、2,700秒 ÷ 360秒 = 7.5km です。
ペース別の速度とレース距離のタイム表
ペースがゴールまで一定だと仮定してビルド時に計算した値です。目標タイムの列から左へたどれば、必要なペースも読み取れます。
| 1km当たり | 1マイル当たり | km/h | 5km | 10km | ハーフ | フル |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4:00 | 6:26 | 15.0 | 20:00 | 40:00 | 1:24:23 | 2:48:47 |
| 4:30 | 7:15 | 13.3 | 22:30 | 45:00 | 1:34:56 | 3:09:53 |
| 5:00 | 8:03 | 12.0 | 25:00 | 50:00 | 1:45:29 | 3:30:59 |
| 5:30 | 8:51 | 10.9 | 27:30 | 55:00 | 1:56:02 | 3:52:04 |
| 6:00 | 9:39 | 10.0 | 30:00 | 1:00:00 | 2:06:35 | 4:13:10 |
| 6:30 | 10:28 | 9.2 | 32:30 | 1:05:00 | 2:17:08 | 4:34:16 |
| 7:00 | 11:16 | 8.6 | 35:00 | 1:10:00 | 2:27:41 | 4:55:22 |
| 7:30 | 12:04 | 8.0 | 37:30 | 1:15:00 | 2:38:14 | 5:16:28 |
| 8:00 | 12:52 | 7.5 | 40:00 | 1:20:00 | 2:48:47 | 5:37:34 |
| 9:00 | 14:29 | 6.7 | 45:00 | 1:30:00 | 3:09:53 | 6:19:45 |
| 10:00 | 16:06 | 6.0 | 50:00 | 1:40:00 | 3:30:59 | 7:01:57 |
このページで使う標準的なレース距離は、5km、10km、ハーフ21.0975km、フル42.195kmです。フルはハーフのちょうど2倍の距離なので、同じペースならタイムもちょうど2倍になります。
マラソンのペース配分:イーブン・ネガティブ・ポジティブ
マラソンでは後半のほうがずっと厳しいと感じるランナーが多く、短い距離よりペース配分の影響が大きくなります。よく挙げられるのは次の3つです。
- イーブンペース:最初から最後まで同じペース。実行しやすく、5kmごとの通過タイムを時計で確認しやすい配分です。
- ネガティブスプリット:後半を前半より速く走る配分。前半を平均より1%ほど遅く、後半を1%ほど速くする程度が現実的で、下の表の右端の列に計算してあります。
- ポジティブスプリット:前半が速く後半が遅くなる配分。狙って選ぶというより、前半に飛ばしすぎた結果になることが多く、後半が前半より数分以上遅い場合はそのサインと読まれがちです。
| 目標タイム | 平均ペース/km | 10km | ハーフ | 30km | 40km | ネガティブ:前半/後半ペース |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3:00:00 | 4:16 | 42:40 | 1:30:00 | 2:07:59 | 2:50:38 | 4:19 / 4:13 |
| 3:30:00 | 4:59 | 49:46 | 1:45:00 | 2:29:18 | 3:19:05 | 5:02 / 4:56 |
| 4:00:00 | 5:41 | 56:53 | 2:00:00 | 2:50:38 | 3:47:31 | 5:45 / 5:38 |
| 4:30:00 | 6:24 | 1:03:59 | 2:15:00 | 3:11:58 | 4:15:57 | 6:28 / 6:20 |
| 5:00:00 | 7:07 | 1:11:06 | 2:30:00 | 3:33:18 | 4:44:24 | 7:11 / 7:02 |
| 5:30:00 | 7:49 | 1:18:12 | 2:45:00 | 3:54:37 | 5:12:50 | 7:54 / 7:45 |
右端の列は、前半を平均ペースの101%、後半を99%で走る場合です。前半と後半の距離は同じなので、ゴールタイムはイーブンペースとまったく同じになります。 たとえば4時間(平均5:41/km)なら、前半は5:45、後半は5:38程度です。この差は感覚だけで合わせるには小さいため、実践的には最初の5kmだけ平均より5〜10秒遅く抑える、という解釈が現実的です。 アップダウンの多いコースでは、ペースを一定にするより努力度を一定に保つほうが大切で、ペースは地形に合わせて変わります。心拍数をもとにした強度の目安は心拍ゾーン計算機も参考にしてください。
他の距離のタイム予測:リーゲル式とVDOT
ある距離の最近の記録から、別の距離のタイムを推定する式がいくつかあります。このページでは2つを表示します。
- リーゲル式:T₂ = T₁ × (D₂ ÷ D₁)1.06。距離が2倍になると、タイムは単純な2倍より約4%多く増えるという経験式です(21.06 ≈ 2.085)。
- ダニエルズ式 VDOT:ジャック・ダニエルズとジミー・ギルバートが発表した酸素消費量と持久力の低下を表す式に基づく指数です。速度 v(m/分)、時間 t(分)として、酸素消費量 = −4.60 + 0.182258v + 0.000104v²、持続可能な割合 = 0.8 + 0.1894393e−0.012778t + 0.2989558e−0.1932605t、VDOT = 酸素消費量 ÷ 持続可能な割合です。ここで表示する値は記録から逆算した走力の指標であり、VO₂max の実測値ではありません。
検算例。10kmを50:00で走った記録は、200m/分で50分走ったことになり、VDOT は約40.0です。リーゲル式の予測は次のとおりです。
| 距離 | 予想タイム | 平均ペース/km |
|---|---|---|
| 5km | 23:59 | 4:48 |
| 10km(基準の記録) | 50:00 | 5:00 |
| ハーフ 21.0975km | 1:50:19 | 5:14 |
| フル 42.195km | 3:50:01 | 5:27 |
もう一例、5kmを25:00で走った場合は、同じ式で10kmが52:07、ハーフが1:55:00、フルが3:59:47になります(VDOT は約38.3)。 これらの予測は、走った距離と同じ水準で長い距離の練習も積んでいることが前提です。
予測式の限界
- 距離が離れるほど誤差が大きくなります。5kmの記録からフルを予測するのは、10kmからハーフを予測するより信頼性が低くなります。フルは速さだけでなく、週間走行距離、補給、筋持久力にも左右されるためです。
- 条件の違いに注意。暑い日や起伏の多いコースの記録を、平坦で涼しいレースにそのまま当てはめることはできません。特に暑さはペースを大きく落としやすい要因です。
- 全力で走ったレースの記録を使うこと。楽に走った練習や、疲れている日の練習は、レースで出せるタイムを表しません。
- ここでの VDOT は数字の目安です。原著にある練習ペース表の代わりにはなりません。ペースゾーンは原著を参照してください。
よくある間違い
- GPS時計の距離をそのまま使う。公認10kmのコースでも時計が10.2kmと表示することがあり、その場合のペースは公式記録のペースより速く見えます。大会では公式の距離を入力してください。
- 入力形式の取り違え。「50:00」は50分、「1:30:00」は1時間30分です。「5000」のようにコロンなしで入力するとエラーになります。
- 信号待ちなどの停止時間を含める。普段のジョギングで停止時間を含めると、実際に動いているときのペースより遅く表示されます。
- 他の競技にそのまま使う。水泳は100m当たりのタイム、自転車は速度で表すのが一般的です。競技に合った単位を使いましょう。
数字との付き合い方
ペースは走りを説明する指標であって、処方箋ではありません。レースペースを基準にし、普段の練習の多くはそれよりかなり遅く、きつい練習は少数にとどめるという考え方もありますが、 どれくらいの割合が合うかは、経歴や健康状態、目標によって異なります。このページの内容は医療上の助言でも、コーチングの計画でもありません。個別の目標は、資格のあるコーチや医師に相談してください。 関連するエネルギー消費の目安には、運動カロリー計算機や歩数カロリー計算機が使えます。
この計算機が向かない場面
インターバル走のように、本数ごとに速度が大きく変わる練習では、平均ペースは強度を表しません。1本ずつ別に入力してください。 けがをしているときや、胸の痛み・めまいがあるときに、目標ペースに合わせて無理に走ってはいけません。予測値はすべて参考であり、計算はブラウザ内で完結してサーバーには送信されません。
よくある質問
タイムはどの形式で入力しますか?
「分:秒」(例: 50:00)または「時:分:秒」(例: 1:30:00)で入力します。秒は59まで、3つ組の形式では分も59までです。24:59.5のような小数の秒も使えます。
3つの欄をすべて埋めるとどうなりますか?
値が食い違う可能性があるため、1つ空けるよう案内が出ます。計算したい項目を空欄にしてください。
初心者の目安となるペースはどれくらいですか?
決まった正解はありません。短い会話ができる程度の息づかいが一つの目安で、多くの初心者は1kmあたり6〜8分台から始めます。歩きを混ぜても構いません。数字より呼吸と継続時間を基準にしましょう。
リーゲル式の予測と実際のレース結果が大きく違うのはなぜですか?
式は、新しい距離にも同じだけ準備ができていることを前提にしています。週間の走行距離が足りない、暑い、起伏が多いといった場合は、ハーフやフルで予測より遅くなるのが普通です。
トレッドミルの速度と屋外のペースは同じですか?
計算式は同じですが、トレッドミルは風の抵抗がないため、同じ速度でも屋外より楽に感じられます。補正として小さな傾斜をつける人もいますが、必要な角度は人や機械によって異なります。
マイル当たりのペースはなぜ表示するのですか?
アメリカやイギリスの大会、多くのアプリ、海外の練習計画はマイル基準です。5:00/km は約8:03/マイル、6:00/km は約9:39/マイルです。