質量と重さは別のもの
体重計の数字は、体に含まれる物質の量そのものではなく、体が体重計を押す力を表しています。物質の量が「質量」で、宇宙のどこでも変わりません。 一方「重さ」は力で、質量にその天体の重力加速度を掛けたもの(W = m × g)です。地球の標準重力は約9.80665 m/s²、月の表面重力は約1.62 m/s²。 質量60kgの人は月でも質量60kgのままですが、地球用の体重計を持っていけば約9.9kgと表示されます。 この計算機は入力値を質量とみなし、各天体の重力の地球比を掛けて、地球用の体重計で読める値を示します。理科の授業や雑談、小説・ゲーム設定のおおよその目安に使えます。
計算式
他の天体での体重(kg換算) = 地球での体重 × (表面重力 ÷ 9.80665)実際の力(N) = 質量(kg) × 表面重力(m/s²)
表面重力は g = G·M/r² で決まります。質量Mが大きいほど強く、半径rの2乗に反比例して弱くなるため、大きな惑星でも重力は思ったほど強くなりません。 表の値はNASAの惑星ファクトシートに沿った概算値で、出典・緯度・高度の取り方によって小数点以下は少し違って紹介されることがあります。
天体別の表面重力の比較表
| 天体 | 表面重力(m/s²・概算) | 地球比 | 60kgの場合 | 70kgの場合 | 地球で50cm跳ぶ力だと |
|---|---|---|---|---|---|
| ☿️ 水星 | 3.70 | 0.377倍 | 22.6kg | 26.4kg | 約1.33m |
| ♀️ 金星 | 8.87 | 0.904倍 | 54.3kg | 63.3kg | 約0.55m |
| 🌙 月 | 1.62 | 0.165倍 | 9.9kg | 11.6kg | 約3.03m |
| ♂️ 火星 | 3.73 | 0.380倍 | 22.8kg | 26.6kg | 約1.31m |
| 🪐 木星 | 25.92 | 2.643倍 | 158.6kg | 185.0kg | 約0.19m |
| 🪐 土星 | 11.19 | 1.141倍 | 68.5kg | 79.9kg | 約0.44m |
| 🔵 天王星 | 9.01 | 0.919倍 | 55.1kg | 64.3kg | 約0.54m |
| 🔷 海王星 | 11.27 | 1.149倍 | 69.0kg | 80.4kg | 約0.44m |
| ⚪ 冥王星 | 0.62 | 0.063倍 | 3.8kg | 4.4kg | 約7.91m |
最後の列は、踏み切りの速さが同じなら跳べる高さは重力に反比例する、という単純な仮定による値です。月では約3倍、冥王星では約8倍になる計算ですが、 実際には宇宙服の重さと圧力のせいで、ここまでは跳べません。
検算つきの計算例
例1: 60kgの人が月に立つと。 60 × 1.62 ÷ 9.80665 = 9.9kg。力では60 × 1.62 = 97.2Nで、地球での60 × 9.80665 ≒ 588Nのおよそ6分の1です。
例2: 70kgの人が木星(1バール面)に立つと。 70 × 25.92 ÷ 9.80665 ≒ 185.0kg。地球の2.64倍の力で押される計算で、立てる地面がないことを別にしても、呼吸や血液循環が難しくなるほどの負荷です。
例3: 火星と水星。 表面重力は3.73と3.70 m/s²でほぼ同じため、60kgの人は火星で約22.8kg、水星で約22.6kgと表示されます。大きさも環境も違う天体で重力が近くなるのは、質量と半径の組み合わせの結果です。
よくある誤解と限界
- やせるわけではありません。 月で軽く表示されても、質量・筋肉量・体脂肪は変わりません。
- 巨大惑星には立てる地面がありません。 木星・土星・天王星・海王星の値は、気圧が1バール(地球の海面付近の気圧に近い)になる高度での重力で、実際に立てるという意味ではありません。
- 金星は重力が地球に近くても過酷です。 地表の気圧が非常に高く、気温は鉛が溶けるほどなので、重力が近いことは安全を意味しません。
- 自転の影響。 赤道では自転の遠心力で、極よりも見かけの重力がわずかに小さくなります。地球でも差は約0.5%程度で、この計算機では無視しています。
- 巨大惑星は資料で値が違います。 NASAのファクトシートは1バール面の平均値と赤道値を別に載せています(木星25.92と23.12、土星11.19と8.96、天王星9.01と8.69、海王星11.27と11.00 m/s²)。このページは平均値を使うため、他の資料では木星2.36倍(赤道値)など別の数字を見かけることがあります。
結果の活用方法
理科の授業では、自分の体重で計算してみて、月と木星を比べると、質量と重さの違いが実感できます。そこから「重力は質量と半径で決まる」という話につなげられます。 小説やゲームの設定では、落下時間や跳躍の高さ、荷物の重さを見積もる基準になります。公的な資料や教材に載せる場合は、各機関が公表している値を直接確認して引用してください。 なお、結果の小数第1位まではあくまで計算上の表示で、測定精度を表すものではありません。表面重力の入力値自体が2〜3桁程度の概算なので、「約」を付けて読むのが適切です。
よくある質問
木星は地球よりずっと大きいのに、重力が約2.6倍なのはなぜですか?
重力は質量だけでなく半径の2乗にも左右されます。木星の質量は地球の300倍以上ですが、半径も約11倍あるため、1バール面の重力は質量比ほどには大きくなりません。
金星と天王星の表面重力は本当に近いのですか?
近いですが同じではありません。金星は約8.87 m/s²(地球の約0.90倍)、天王星は1バール面で約9.01 m/s²(約0.92倍)です。天王星には固い地表がないので、1バール面を基準にしています。
太陽での体重は計算できますか?
このツールには含めていません。太陽はガスの球で「表面」がはっきりしません。表面重力は地球の約28倍とよく紹介されますが、実用的な値ではありません。
入力するkgは質量ですか、重さですか?
地球の体重計で読んだ値を質量とみなします。結果のkgは「その天体で地球用の体重計に乗ったときの値」、N(ニュートン)は実際の力です。
冥王星は惑星ではないのに、なぜ載っているのですか?
2006年に国際天文学連合が冥王星を準惑星に分類しました。比較対象として今も関心が高いので、準惑星と明記した上で残しています。