ネットワーク階層の中でのMPLSの位置
MPLSは、ラベルがリンク層ヘッダーとIPヘッダーの間に入ることから、レイヤー2.5の技術と呼ばれることがあります。IPを置き換えるのではなく、IPの下により速い転送方式を加えるもので、宛先の場所を知るにはOSPFやIS-IS、BGPといったルーティングプロトコルを使います。ネットワークトポロジーの種類や、1つの拠点内でトラフィックを分けるVLANの仕組みを知っておくと、MPLSが事業者のバックボーンを通じて別々の拠点をつなぐ技術であることが理解しやすくなります。
ラベルとIPアドレスはどう違うのか
IPアドレスは宛先を一意に識別するためのものですが、MPLSのラベルは隣り合う2台のルーター間の1本のリンクでだけ意味を持つ値で、次のホップでは同じ値がまったく別の意味になることもあります。各ルーターは転送のたびに入ってきたラベルを出ていくラベルに付け替えるため、ラベルはアドレスというより、その場限りの近道と考えるほうが適切です。
企業がMPLSから離れつつある理由と、残す理由
MPLSの魅力は、事業者が品質を保証する、予測しやすい性能でした。欠点は、1Mbpsあたりの料金が高いこと、新しい拠点に回線が必要になったときの開通までが長いこと、1つの通信事業者のカバー範囲に依存することです。ブロードバンドは格段に安いため、多くの企業はSD-WANで複数回線を組み合わせ、音声や変動に弱いアプリのためにMPLS回線を残す場合もあります。小規模な支店ではMPLSをやめ、データセンターでは残すという組織もあります。適切なバランスは、トラフィックの重要度、現地のブロードバンドの品質、契約条件によって変わります。このページは一般的な技術情報であり、特定の製品を推奨するものではありません。
よくある誤解
MPLSは暗号化ではありません。顧客間の分離は事業者の設定によるもので、通信は標準では暗号化されないため、機密性の高いデータにはその上でIPsecを使うことも検討されます。また、MPLSはインターネット接続の種類でもありません。事業者網の内部での転送方式を指す用語であり、顧客はそれをサービスとして購入します。さらに、宣伝文句の「MPLS」は、従来のMPLS以外の技術で動くプライベートWANサービスを指すこともあります。
よくある質問
MPLSは家庭で使うインターネット回線と関係がありますか?
一般家庭用のインターネット回線とはあまり直接の関係がありません。MPLSは主に通信事業者のバックボーン網の内部や、企業が複数の拠点をつなぐ専用回線サービスで活用される技術です。
ラベルはIPアドレスとどう違うのですか?
IPアドレスは世界中どこでも宛先を一意に識別するアドレスですが、MPLSのラベルは特定の区間(ローカルリンク)でのみ意味を持つ短い値です。同じラベル値でも区間が変わると別の意味で再利用されることがあります。
MPLSは通常のIPルーティングより速いのですか?
ラベルの検索は最長一致のIP検索より単純で、昔のハードウェアではこれが大きな意味を持ちました。現在の主な利点は、検索速度そのものよりも、トラフィックエンジニアリング、高速な迂回、VPNサービスにあります。
MPLSは通信を暗号化してくれますか?
いいえ。設計上、顧客間のトラフィックを分離しますが、暗号化はしません。機密性が必要な組織は、IPsecなどの暗号化を追加することが多いです。
LERとLSRの違いは実際にはどういうことですか?
LERは通信がMPLS網に入る・出る境界にあって、ラベルを付けたり外したりします。LSRは中心部でラベルを付け替えるルーターです。1台のルーターが、経路によってどちらの役割も担うことがあります。