優れたKPI体系は洗練されているというより、地味で分かりやすい
全員が実際に理解し定期的に確認している少数の厳選されたKPIは、作った本人にしか解釈できない大がかりで複雑なダッシュボードよりも優れています。会議のたびに長い説明が必要になるKPIは、たいてい単純化のサインです。実用的なテストとして、新しいメンバーに各KPIが何を測り、どの値なら良好なのかを一文で説明してもらってみてください。説明できなければ、計算式・データの出どころ・単位を名前の横に書き添え、もっと平易な言葉で定義を書き直す必要があります。
KPIは何かが壊れたときだけでなく、定期的に見直す
市場・優先順位・チーム構成は変化するため、1年前には妥当だったKPIが、いつの間にか実態を反映しなくなっていることがあります。KPIが明らかに機能しなくなるのを待つのではなく、定期的な見直しをカレンダーに組み込んでおくことで、指標体系全体の信頼性を保てます。見直しでは、各KPIについて「前四半期に何か意思決定を変えたか」「現在の会社目標と結びついているか」「誰かが数字を歪めていないか」の3点を確認します。3つとも満たさないKPIは廃止してかまいません。指標を増やすことと同じくらい、減らすことも大切です。
具体例:曖昧な目標からカスケードされたKPIへ
会社の目標が「今年はもっと利益を出す」だとします。これだけでは測定できないので、「12月までに営業利益率を12%から14%に引き上げる」と具体化します。営業部門はこれを契約件数だけでなく、平均値引き率や契約あたりの粗利に落とし込みます。カスタマーサポートは満足度を下げずに1件あたりの対応コストを下げ、運用部門は手戻りを減らすことで貢献します。各チームのKPIは利益率目標までたどることができ、対抗指標と担当者も決まっています。なお、この例の数値は説明用であり基準値ではありません。現実的な目標は、自社の現状値によって決まります。
KPIが適さない場面
KPIは、繰り返し行われ、定期的に測定できる活動に向いています。単発のプロジェクト、初期段階の実験、成果を安定した数値に落とし込めない創造的な仕事には向きません。その場合はマイルストーンや定性的なレビュー、緩めの主要な成果を伴うOKRのほうが適しています。測りにくい仕事に無理にKPIを当てはめると、精密に見えても誤解を招く数字ができあがりがちです。
よくある質問
チームはOKRとKPIのどちらを使うべきですか?
どちらか一方というわけではありません。多くのチームはOKRで四半期の野心的な方向性を定め、KPIでその方向に日々の実行が実際に向かっているかを追跡するダッシュボードとして使っています。
一つのチームはいくつのKPIを同時に追うべきですか?
万能な数はありませんが、多くの実務家は主要KPIが5〜6個を超えると集中力が落ち始めると感じています。多くの指標を緩く追うより、少ない指標をしっかり追う方が一般的にうまくいきます。
KPIと単なる指標(メトリクス)は何が違いますか?
指標はページビューや人数など、測定できる数字すべてを指します。KPIはそのうち、特定の目標に結びつき、意思決定のために見直されるごく一部です。多くの組織には数百の指標がありますが、本当のKPIはわずか数個です。
KPIはどのくらいの頻度で変更すべきですか?
目標値は四半期や年ごとに見直すのが一般的ですが、KPIの定義自体は推移を比較できるよう安定させておきます。事業そのものが変わったときだけ定義を変え、古いデータと新しいデータが混ざらないよう変更日を記録しておきましょう。
チームがKPIの目標を達成できない状態が続く場合は?
まず、目標が現状値に照らして現実的だったか、チームが数字の要因を左右できるかを確認します。どちらかが否なら、KPIのほうを直します。どちらも是なら、プレッシャーを上げるのではなく先行指標を見て、プロセスのどこで途切れているかを探ります。
個人にもKPIを設定できますか?
可能ですが、チーム目標から導かれ、本人がコントロールできる範囲に収まっているときに最も機能します。個人の成果だけを評価するKPIは協力を妨げることがあるため、チーム共通の指標と組み合わせる会社が多くあります。