この地図はどのように作られたか
気候区分の色は、Beck, H.E., Zimmermann, N. E., McVicar, T. R., Vergopolan, N., Berg, A., & Wood, E. F.の論文 「Present and future Köppen-Geiger climate classification maps at 1-km resolution」(Scientific Data, 2018, CC BY 4.0)の公式地図画像を、 ウェブ向けに縮小・加工したものです。国境線にはパブリックドメインのNatural Earthのデータを使っています。
各区分コードの位置は、元の地図画像でアマゾン、サハラ、パリ、南極など世界各地の代表的な約55地点のピクセルの色を確かめて対応づけました。 高山地帯など地表のごく一部にしか現れないCsc、Cwc、Dsc、Dsd、Dwdの5つの珍しい亜型は、位置を特定しづらいため凡例から外しています。 その地域をクリックすると、色がもっとも近い隣の気候で近似して表示します。地図のクリックは数値の気候記録を引くのではなく画像の色を読み取る方式なので、 細い地形や海岸線では1区分ずれることがあります。
ケッペンの気候区分とは
ケッペンの気候区分は、気候学者のウラジミール・ケッペンが19世紀末から20世紀初めにかけて考案し、のちにルドルフ・ガイガーらが補った方式で、 現在の地図が「ケッペン・ガイガー」と呼ばれるのはこのためです。世界でもっとも広く使われている分類で、気温と降水のパターンだけを基準に 気候を5つの大きなグループ(A〜E)とその下の細かな型に分けます。コードは「1文字目=大分類、2文字目=降水の特徴、3文字目=気温の特徴」と読みます。 たとえばCfaは、温帯(C)で、乾季がなく(f)、夏が暑い(a)という意味です。
判定基準の一覧
次の基準は、Peelら(2007)やBeckら(2018)など近年の論文でよく使われる形でまとめたものです。気候データの期間や境界の扱いは実装によって少し異なります。 記号は、MAT(年平均気温)、MAP(年降水量)、Thot・Tcold(もっとも暑い月・寒い月の平均気温)、Pdry(もっとも乾いた月の降水量)です。
| コード | 条件 | 意味 |
|---|---|---|
| E | Thot < 10℃(ET: 0℃以上、EF: 0℃未満) | 寒帯: もっとも暖かい月でも10℃に届かない |
| B | MAP < 10 × Pth(BW: 5 × Pth未満、それ以外はBS)・h: MAT ≥ 18℃、k: 未満 | 乾燥帯: 蒸発量が降水量を上回る |
| A | Tcold ≥ 18℃(Af: Pdry ≥ 60mm、Am: Pdry ≥ 100 − MAP/25、それ以外はAw) | 熱帯: 一年中暖かい |
| C | Thotが10℃超で、Tcoldが0℃超18℃未満 | 温帯 |
| D | Thotが10℃超で、Tcoldが0℃以下 | 冷帯(亜寒帯) |
| 2文字目 s / w / f(CとD) | s: 夏に乾燥、w: 冬に乾燥、f: 乾季なし | 降水の季節性 |
| 3文字目 a / b / c / d(CとD) | a: Thot ≥ 22℃、b: 10℃以上の月が4か月以上、c: 1〜3か月、d: Tcold < −38℃ | 夏の長さと冬の厳しさ |
ここでPth(乾燥限界、MATは℃として単位はmm)は、降水の70%以上が冬に集中すれば2×MAT、70%以上が夏に集中すれば2×MAT+28、 それ以外は2×MAT+14で計算します。古い資料や一部の教科書は、CとDの境目を0℃ではなく−3℃にしているため、本によって同じ地点が違う区分に見えることがあります。 このページの地図はBeckら(2018)のもので、ここで使う0℃基準の解釈と整合します。
検算した架空の例3つ
次は実測値ではなく、判定の方法を示すために作った架空の月別データで、ツールと同じ関数で計算した結果です。上の「例を読み込む」から同じ値を入力できます。
- 架空の都市A(夏に雨が集中・冬は厳寒): MAT 13.0℃、MAP 1275mm、Thot 27℃、Tcold -2℃、Pdry 20mm、Pth 54.0 → Dwa
- 架空の都市B(一年中乾燥した低緯度): MAT 25.3℃、MAP 24mm、Thot 36℃、Tcold 14℃、Pdry 0mm、Pth 50.5 → BWh
- 架空の都市C(夏は乾燥・冬に雨): MAT 18.3℃、MAP 573mm、Thot 28℃、Tcold 10℃、Pdry 3mm、Pth 36.5 → Csa
都市Aはもっとも寒い月が0℃以下なのでD、もっとも暑い月が22℃以上なので最後の文字はa、冬が乾いて夏に降水が集中するのでwになります。 都市Bは年降水量が乾燥限界の半分にも届かず砂漠(BW)で、年平均気温が18℃以上なのでhが付きます。都市Cは夏に乾き冬に雨が多い地中海型のパターンで、sになります。
地図と凡例の読み方
地図の上をクリックするか都市を検索すると、コード、短い説明、代表的な地域がパネルに出ます。凡例の項目を押すと、地点を選ばずに同じ説明を見られます。 まず1文字目で大づかみに捉えます。一年中暖かい(A)、乾燥(B)、冬が穏やか(C)、冬が寒い(D)、寒帯(E)のどれかです。次に2文字目で雨の降る時期、 3文字目で夏の暑さや長さを読みます。1・2文字目が同じでも、3文字目が違えば体感は大きく変わります。
よくある誤解と限界
- ある年の天気ではなく平年値が基準です。数十年の平均を使うため、特定の年の猛暑や干ばつで区分が変わることはありません。
- 都市の中心と周辺は同じとは限りません。標高や海岸、山地によって近い場所でも気候は変わります。この地図は高解像度の格子データを縮めた画像なので、狭い地域は正確でないことがあります。
- ケッペンの原案と現代の実装は異なります。乾燥限界の計算やCとDの境界(0℃か−3℃か)は資料によって違い、同じ都市でも文献ごとに区分が異なることがあります。
- 気候変動で境界は動きます。Beckら(2018)は将来シナリオの地図も示していますが、このページは現在の気候の地図だけを使っています。
- このツールのデータには限界があります。凡例には前述の珍しい5亜型がなく、クリックは計測値でなくパレットでもっとも近い色を返し、都市リストも有名な都市に絞った小規模なものです。
- 判定機能は月平均12個の値だけで計算します。日較差、積雪、湿度は考慮せず、夏半年は4〜9月または10〜3月に固定し、簡略化した実装なので、入力した気候データ以上の精度は出ません。
結果の活用方法
旅行先の季節を見積もるときは、3文字目(夏の長さ)と2文字目(乾季の位置)を合わせて見てください。地理の学習では、代表地域を暗記するより 「AはTcold ≥ 18℃、EはThot < 10℃」といった境界を理解しておくほうが応用問題に強くなります。地点の気候型がわかったら、世界の天気情報で現在の天気と5日間予報を確認でき、世界時差変換機は地域をまたぐ旅の計画に役立ちます。
よくある質問
地図の境界線は常に正確ですか?
気候の境界は実際には少しずつ移り変わり、使うデータや算出方法によって文献ごとに少し異なって表示されます。この地図は広く引用されているBeckら(2018)のデータを基にしています。
地図に黒い線や灰色の部分があるのはなぜですか?
黒い線は国境線です。一部の地域は観測データが少なく分類が難しいため、情報が表示されない場合があります。
気候区分と実際の植生はいつも一致しますか?
ケッペンの気候区分はもともと植生の分布を基準に考案されたので、実際の植生帯とよく合いますが、人間による開発や特殊な地形による例外もあります。
判定機能の結果が地図と違うのはなぜですか?
地図は1km格子の観測・補正データを使い、判定機能は入力した月別12個の値だけを使うからです。気象台の値と格子の平均の違い、平年の期間の違いだけでも、境界付近では区分が変わることがあります。
入力した気温や降水量は保存されますか?
いいえ。計算はブラウザの中だけで行われ、サーバーへ送信も保存もしません。ページを再読み込みすると入力値は消えます。
CとDの境目は何℃ですか?
この地図のデータを含む近年の論文は、最寒月の平均気温0℃を境にしています。古い資料や一部の教科書は−3℃を使うため、2つのグループのあいだで区分が移る地点があります。コードを比べる前に、どちらの基準かを確認してください。
