損益計算書:売上高→営業利益→当期純利益の流れ
一定期間に会社がいくら稼ぎ、いくら使ったかを示す表で、売上高から各種費用を順番に差し引きながら利益の段階を絞り込んでいきます。売上高から売上原価を引くと売上総利益、そこから人件費や広告費などの販売費及び一般管理費を引くと本業で稼いだ営業利益になります。営業利益に受取利息・支払利息などの営業外損益と法人税を反映すると、最終的に当期純利益が残ります。営業利益は本業の競争力を、当期純利益は一時的な損益まで含めた最終成績を示すため、両方をあわせて見ることが大切です。
貸借対照表:資産=負債+純資産
特定時点で会社が保有する財産(資産)と、その財産をどう調達したか(負債で借りたのか、純資産で調達したのか)を示す表です。貸借対照表では常に「資産=負債+純資産」という等式が成り立ちます。資産と負債はそれぞれ1年以内に現金化・返済される流動項目とそれ以外の固定項目に分けて表示され、純資産は株主が実際に出資した部分とこれまで積み上げてきた利益剰余金などで構成されます。負債が純資産に比べて過度に大きい場合は財務の安定性に注意が必要です。
キャッシュフロー計算書:黒字倒産を見抜く方法
営業活動・投資活動・財務活動の3つに分けて実際の現金の出入りを示す表で、帳簿上の利益と実際の現金状況が食い違うことがあると教えてくれます。損益計算書上は黒字でも、売掛金(未回収の売上代金)をきちんと回収できていないと営業活動によるキャッシュフローがマイナスになり、実際には手元資金が不足する「黒字倒産」の危険信号が現れることがあります。営業活動によるキャッシュフローが継続的にプラスか、当期純利益と大きく乖離していないかを確認すると、帳簿上の数字だけでは見えない会社の実際の資金繰りを把握しやすくなります。
負債比率と流動比率
負債比率(負債合計÷自己資本×100)が低いほど、流動比率(流動資産÷流動負債×100)が100%を超えているほど、一般的に財務の安定性が高いと評価されます。負債比率は自己資本に対してどれだけ借金が多いかを示す指標で、業界平均と比較して過度に高くないか確認するとよいでしょう。流動比率は1年以内に返済すべき流動負債を、1年以内に現金化できる流動資産でどれだけ賄えるかを示し、100%を下回ると短期的な資金繰りの圧迫リスクがあるサインと解釈されることがあります。
営業利益率・純利益率で見る収益性
営業利益率(営業利益÷売上高×100)と純利益率(当期純利益÷売上高×100)は、同じ売上高からどれだけ効率よく利益を残せているかを示します。売上高の規模が大きく見える会社でも、営業利益率・純利益率が低ければ実際に手元に残るお金は多くないことがあります。逆に売上規模は小さくても利益率が安定して高い会社は、事業構造がしっかりしているサインかもしれません。特定の四半期だけの一時的な損益に左右されないよう、複数の四半期・年度にわたる推移を合わせて見ることが大切です。
財務諸表を見るときのチェックポイント
一つの数字だけを単独で見るのではなく、前年同期との比較、同業他社との比較、そして財務諸表に添付されている注記まで確認することが正確な読み方の基本です。同じ売上高でも前年より増えたのか減ったのか、業界平均と比べて高いのか低いのかによって意味はまったく変わってきます。また財務諸表の「注記」には、関連当事者取引や偶発債務、会計処理方法の変更といった、数字だけでは見えてこない重要な情報が記載されていることが多く、あわせて確認するのがおすすめです。
経常利益と特別損益(日本基準の特徴)
日本の会計基準では、営業利益に受取利息や支払利息などの営業外損益を加減した「経常利益」が、会社の通常の事業活動の成績として重視されてきました。その後に、災害による損失や固定資産の売却益などの臨時的な「特別損益」を加え、法人税等を差し引くと当期純利益になります。ただし、IFRS(国際財務報告基準)を採用している企業は表示の形式が異なり、経常利益が表示されない場合があります。会社がどの会計基準を使っているかも、決算書を読む際の前提として確認しておきましょう。
自己資本比率とROE
自己資本比率(自己資本÷総資産×100)は、会社の資金のうち返済不要の部分がどれだけあるかを示します。数値が高いほど財務は安定している傾向がありますが、業種によって標準的な水準は大きく異なります。ROE(自己資本利益率=当期純利益÷自己資本×100)は、株主が出資した資本でどれだけ利益を上げたかを示します。ROEが高いのは魅力的ですが、借入を増やして自己資本を小さくしても上がるため、自己資本比率とあわせて確認するのが基本です。
フリーキャッシュフローの考え方
営業活動によるキャッシュフローに、設備投資などの投資活動によるキャッシュフローを加えたものを、おおまかにフリーキャッシュフローと呼びます。事業で稼いだ現金から必要な投資を引いたあとに自由に使えるお金の目安で、配当や借入返済、新規投資の原資になります。成長中の企業では、積極的な投資のために一時的にマイナスになることも珍しくないため、数年間の推移と投資の中身をあわせて見る必要があります。
数字で見る簡単な例(架空の会社)
売上高100億円、売上原価60億円、販売費及び一般管理費30億円の会社を考えます。売上総利益は40億円、営業利益は10億円で、営業利益率は10%です。仮に営業外損益がゼロで法人税等が3億円だとすると、当期純利益は7億円になります。一方、売上債権が前年より大きく増え、営業活動によるキャッシュフローが2億円しかなければ、利益ほどの現金が入っていないことが分かります。この「利益と現金のずれ」に気づけることが、財務諸表を読む大きな目的の一つです。
注意したい兆候
次のような点が重なる場合は、さらに詳しく確認する価値があります。売上債権の増加が売上の伸びを大きく上回っている、棚卸資産が急に増えている、営業活動によるキャッシュフローが何期も続けてマイナスである、借入金が増え続けているのに利益が伸びていない、といった状況です。ただし、これらは必ずしも問題を意味するわけではなく、季節要因や大型案件の影響でも起こります。注記や決算説明資料も参照して、原因を確認しましょう。