世界の名画事典 - モナ・リザからゲルニカまで

モナ・リザからゲルニカまで、世界中で愛される名画15点を、画家・制作年・所蔵先・背景とあわせてご紹介します。

モナ・リザ

画家:レオナルド・ダ・ヴィンチ · 制作年:1503〜1519年頃 · 所蔵先:ルーヴル美術館(フランス・パリ)。世界で最も有名な絵画に挙げられる作品です。見る角度によって異なって感じられる神秘的な微笑みと、輪郭線をぼかして処理する「スフマート」技法で有名です。ポプラの板に描かれた約77×53センチの小さな油彩画で、1911年にルーヴルから盗まれて2年後に戻ったことも、世界的な知名度を高める一因になったとされています。

最後の晩餐

画家:レオナルド・ダ・ヴィンチ · 制作年:1495〜1498年 · 所蔵先:サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(イタリア・ミラノ)。イエスが弟子たちと共にした最後の食事で、自分を裏切る者がいると告げた瞬間のざわめきを描いた壁画です。伝統的なフレスコ技法ではなく乾いた壁に絵具を重ねる実験的な方法を用いたため、早くから傷みが進み、繰り返し修復されてきました。大きさは縦約4.6メートル、横約8.8メートルです。

真珠の耳飾りの少女

画家:ヨハネス・フェルメール · 制作年:1665年頃 · 所蔵先:マウリッツハイス美術館(オランダ・ハーグ)。肩越しに振り返り、鑑賞者を見つめる少女の姿が印象的な作品で、神秘的な雰囲気から「北方のモナ・リザ」という愛称でも呼ばれます。

ヴィーナスの誕生

画家:サンドロ・ボッティチェリ · 制作年:1485年頃 · 所蔵先:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)。愛と美の女神ヴィーナスが大きな貝殻に乗って海から誕生する瞬間を描いた作品で、ルネサンス時代を代表する名画に挙げられます。

星月夜

画家:フィンセント・ファン・ゴッホ · 制作年:1889年 · 所蔵先:ニューヨーク近代美術館(MoMA、アメリカ)。1889年6月、南仏サン=レミの療養院に滞在していた時期に、窓から見える夜空をもとに描かれた作品で、下に見える村は想像で描かれた部分が多いとされています。約73.7×92.1センチの油彩画で、強烈な色彩と渦巻くような筆致が特徴です。

睡蓮連作

画家:クロード・モネ · 制作年:1890年代〜1920年代 · 所蔵先:オランジュリー美術館ほか世界各地の美術館(フランスほか)。モネが自身の庭の池を30年以上にわたって繰り返し描いた約250点にのぼる連作です。光と色彩の変化を捉えようとする印象派の画風を代表する作品です。

叫び

画家:エドヴァルド・ムンク · 制作年:1893年 · 所蔵先:ノルウェー国立美術館・ムンク美術館(ノルウェー・オスロ)。血のように赤く染まった空の下で両手で顔を覆いながら叫ぶ人物の姿を描いた作品で、現代人の不安と孤独を象徴する絵として広く知られています。

晩鐘

画家:ジャン=フランソワ・ミレー · 制作年:1857〜1859年 · 所蔵先:オルセー美術館(フランス・パリ)。夕暮れ時、畑で働いていた農夫夫婦がふと手を止めて夕べの祈りを捧げる姿を描いた作品で、素朴な農村生活への敬虔さを表現しています。

ゲルニカ

画家:パブロ・ピカソ · 制作年:1937年 · 所蔵先:レイナ・ソフィア国立美術館(スペイン・マドリード)。1937年4月26日、スペイン内戦中にバスク地方の町ゲルニカが爆撃された惨状を、キュビスムの画風で表現した縦約3.5メートル、横約7.8メートルの大型作品です。パリ万国博覧会のスペイン館のために数週間で描かれ、1992年からマドリードで展示されています。戦争の悲惨さを告発する反戦美術の象徴とされています。

記憶の固執

画家:サルバドール・ダリ · 制作年:1931年 · 所蔵先:ニューヨーク近代美術館(MoMA、アメリカ)。溶けるような時計が幻想的な風景の上に置かれたシュルレアリスムの代表作です。時間の相対性と無意識の世界を表現した作品と評価されています。

アメリカン・ゴシック

画家:グラント・ウッド · 制作年:1930年 · 所蔵先:シカゴ美術館(アメリカ)。ゴシック様式の農家を背景に、熊手を持った農夫とその娘を描いた作品で、アメリカ中西部の農村の勤勉さと保守的な価値観を象徴する絵として広く知られています。

キャンベルのスープ缶

画家:アンディ・ウォーホル · 制作年:1962年 · 所蔵先:ニューヨーク近代美術館(MoMA、アメリカ)。32種類のキャンベルスープ缶を並べて描いた作品で、大量生産される消費財を芸術の題材とした、ポップアートを代表する作品です。

夜警

画家:レンブラント・ファン・レイン · 制作年:1642年 · 所蔵先:アムステルダム国立美術館(オランダ・アムステルダム)。フランス・バニング・コック隊長が率いる市民隊の集団肖像画で、劇的な光と動きのある構図が特徴です。それまで整然と並ぶのが普通だった集団肖像を、動きのある場面へと変えた作品として知られています。18世紀に移設された際、画面の端が切り詰められたことでも有名で、オランダ黄金時代を代表する作品です。

ラス・メニーナス

画家:ディエゴ・ベラスケス · 制作年:1656年 · 所蔵先:プラド美術館(スペイン・マドリード)。幼い王女マルガリータ・テレサと侍女たち、大きなキャンバスに向かう画家自身、そして奥の鏡に映る国王夫妻を描いた宮廷の場面です。鑑賞者がどこに立っているのか、本当の主題は何なのかをめぐって長く議論されており、西洋美術で最も多く分析された作品の一つとされています。

接吻

画家:グスタフ・クリムト · 制作年:1907〜1908年 · 所蔵先:オーストリア絵画館ベルヴェデーレ(オーストリア・ウィーン)。金で装飾された華やかな衣に包まれた恋人たちの抱擁を、油彩と金箔で描いた作品です。「黄金時代」と呼ばれるクリムトの時期を代表する作品で、ウィーン分離派とアール・ヌーヴォーの時代を象徴する一枚として知られています。

なぜこうした作品は名画と呼ばれるのか

名画とは、優れた技法だけでなく、その時代の精神や人類普遍の感情を込めて、時代を超えて多くの人々に響きを与える作品を指します。ここで紹介する作品は、美術館を訪れたことがない人でも一度は画像として目にしたことがあるほど、世界的に広く知られている絵画です。

名画の見方のヒント

名画を見るときは、光がどこから差しているか、最初に視線がどこへ向かうか、画家が何を描かずに残したか、という3点を意識すると見え方が変わります。モナ・リザは輪郭をぼかすことで、表情を鑑賞者の想像に委ねています。ゲルニカは色を抑えた断片的な形が衝撃を高めています。星月夜では筆のリズムそのものが主題になっています。美術館のキャプションで年代や背景を確認してからもう一度作品を眺めると、気づく点が増えます。同じ時代の作品、たとえば印象派と後期印象派を比べると、技法の違いもよく分かります。

実物を見るときの注意点

複製や画像では、作品の大きさ、表面の質感、色の深みを正確には伝えられません。モナ・リザは多くの人が想像するよりずっと小さく、夜警やゲルニカは写真から想像する以上に巨大です。人気の作品がある美術館では行列ができるため、公式サイトで開館時間や日時指定券、作品の展示状況を確認しておきましょう。最後の晩餐のように、保存のために少人数の時間指定制で鑑賞する作品もあります。作品は巡回展や修復で移動することがあるため、旅行の計画を立てる前に、現在の所蔵・展示状況を必ず確認してください。

資料によって異なる点があります

古い絵画の制作年や寸法、題名は、資料によって表記が異なることがあります。画家が何年もかけて描き続けた場合や、題名が後から付けられた場合があるためです。モナ・リザは1503年頃に着手され1519年頃まで手が加えられたとされるのが一般的で、叫びのように複数のバージョンが存在する作品では、どれを指すかによって所蔵先が変わります。このページでは主要美術館が一般に示している年代と所蔵先に沿って記載していますが、正確さが必要な場合は各美術館の公式コレクション情報をご確認ください。

よくある質問

これらの絵は実際に見ることができますか?

はい、ほとんどが各国の有名美術館に所蔵され、一般公開されています。ただし美術館の巡回展示や保存作業の日程によって観覧が制限される場合があるため、訪問前に当該美術館の公式情報を確認することをおすすめします。

美術様式の全体的な流れも知ることができますか?

はい、ルネサンスから現代美術までの美術様式の全体的な流れが気になる方は「美術史総まとめ」もご覧ください。

モナ・リザが特に有名なのはなぜですか?

レオナルドの技法、解釈の分かれる表情、王室や国の所蔵品として大切に守られてきたこと、そして1911年の盗難事件が世界中で報道されたことなど、いくつかの要因が重なっています。名声がさらに注目を集める循環が生まれ、現在では芸術作品であると同時に世界的なアイコンになっています。

「叫び」は1枚だけの作品ですか?

いいえ。ムンクは1893年から1910年にかけて、テンペラ、クレヨン、パステルなど異なる素材で複数のバージョンを制作し、版画も残しています。パステル版は2012年にオークションで落札され、その他はノルウェーの美術館に所蔵されています。