割引計算の基本となる3つの式
割引は「定価の何割かを引く」ことなので、すべての式は掛け算でまとめられます。割引価格 = 定価 × (1 − 割引率 ÷ 100)、割引率 = (定価 − 販売価格) ÷ 定価 × 100、定価 = 販売価格 ÷ (1 − 割引率 ÷ 100)です。同じ関係を解く向きを変えただけです。5,000円の品物を30%引きにすると 5,000 × 0.7 = 3,500円。逆に3,500円が30%引き後の価格とわかっているなら、3,500 ÷ 0.7 = 5,000円が定価です。
よくある間違いは、定価を逆算するときに販売価格へ30%を足してしまうことです。3,500 × 1.3 = 4,550円ですが、本当の定価は5,000円です。割引率の基準になるのは販売価格ではなく定価だからです。「何を基準にするか」で同じパーセントが別の金額になる点は、パーセント計算機の基本でもあります。
割引率の錯覚:同じパーセントでも意味が違う
割引率は「支払いが減る割合」であって「得られる量が増える割合」ではありません。50%引きなら同じお金で2倍買え、20%引きなら25%多く買えます。割引率が大きいほど、この差は急に開きます。下の表は、割引率ごとに同じお金の購買力が何倍になるか、そして価格を定価まで戻すのに必要な値上げ率を、式からビルド時に計算したものです。
| 割引率 | 同じ金額で買える量 | 定価に戻すのに必要な値上げ率 |
|---|---|---|
| 10% | 1.11倍 | +11.1% |
| 20% | 1.25倍 | +25.0% |
| 25% | 1.33倍 | +33.3% |
| 30% | 1.43倍 | +42.9% |
| 40% | 1.67倍 | +66.7% |
| 50% | 2.00倍 | +100.0% |
| 60% | 2.50倍 | +150.0% |
| 70% | 3.33倍 | +233.3% |
割引を元に戻す値上げ幅は、いつも割引率より大きくなります。30%引きの価格が元に戻るには42.9%の値上げが必要です。セール後にじわっと価格が戻っても「少し上がっただけ」と感じやすいのはこのためです。
「おまけ付き」を割引率に換算する
「1個買うと1個おまけ」のような企画は値札にパーセントがなく、比べにくいものです。N個分の代金でN+M個が手に入る場合、実質の割引率は M ÷ (N+M) です。すべて同じ単価であることが前提なので、単価や内容量が変わっていないかも確認してください。
| 企画 | 実質の割引率 |
|---|---|
| 1個買うと1個おまけ(1+1) | 50.0% |
| 2個買うと1個おまけ(2+1) | 33.3% |
| 3個買うと1個おまけ(3+1) | 25.0% |
| 4個買うと1個おまけ(4+1) | 20.0% |
| 2個買うと2個おまけ(2+2) | 50.0% |
内容量が違う商品どうしの比較は、単価比較計算機で100gあたりや1個あたりの価格をそろえるほうが確実です。
重ね引きとクーポン:順番で結果が変わる
パーセント割引どうしは掛け算なので、順番を入れ替えても結果は同じです。20%引き後に10%引きでも、10%引き後に20%引きでも、定価 × 0.8 × 0.9 = 定価 × 0.72 で、合計28%引き。単純に足した30%ではありません。ところが定額クーポン(例: 500円)が混ざると順番が影響します。金額が固定のため、パーセント割引で価格が下がった後に引くか、先に定価から引いてからパーセントを掛けるかで、最終額が変わるからです。どちらが適用されるかは店やクーポンの規約によるので、支払い画面の最終額で確認してください。この計算機の「クーポンを使うタイミング」で両方を比べられます。
例1: パーセント2回+定額クーポン。定価12,000円に30%引き、さらに15%引き、500円クーポンを順に適用すると、12,000 × 0.7 = 8,400円、8,400 × 0.85 = 7,140円、500円を引いて6,640円。合計割引額は5,360円で、実際の合計割引率は44.67%です。30 + 15 = 45%(+クーポン分)と足し算で考えた値とは違います。
例2: クーポンのタイミング。同じ条件でクーポンを先に定価から引くと、(12,000 × 0.7 − 500) × 0.85 = 6,715円となり、上の6,640円より75円高くなります。クーポンを最後に使うほうが、500円がそのまま割引になるため有利です。
例3: パーセント割引を3回。20,000円に20%、10%、5%を順に適用すると 20,000 × 0.8 × 0.9 × 0.95 = 13,680円で、合計31.6%引き。足し算の35%とは3.4ポイントの差があります。小さな割引を重ねるほど、足し算と実際の差は大きくなります。
パーセントクーポンと定額クーポン、どちらが得か
「20%引きクーポン」と「1,000円引きクーポン」のどちらか一方しか使えないなら、損益分岐点を求めます。分岐点の価格 = 定額 ÷ 割引率なので 1,000 ÷ 0.2 = 5,000円。支払額が5,000円を超えれば20%クーポン、下回れば1,000円クーポンが有利です。たとえば8,000円の買い物なら20%は1,600円引きで600円お得、3,000円なら20%は600円引きにとどまり、定額クーポンのほうが400円お得です。パーセントクーポンに「割引上限額」があるなら、上限に達する価格以降は得が増えなくなるので、同じ方法で上限も含めて比べてください。
値札のからくりを見抜く
- 定価のかさ上げ: 10,000円の品を15,000円に上げてから40%引きにすると9,000円です。表示は40%引きでも、実際は元の価格より10%高く売っています。割引率より、以前の販売価格と比べてください。
- 「最大70%OFF」: 一部の商品の割引率であって、平均ではありません。買う商品の定価と販売価格を「定価+販売価格」で計算しましょう。
- クーポンの条件: 最低利用金額、併用の可否、上限額は異なります。条件を満たすために不要なものを買えば、かえって損です。
- 送料: 割引で合計が送料無料の基準を下回ると送料が加わり、実質の割引が小さくなることがあります。
この計算機が扱わないこと
入力した金額に割引率を掛ける単純な計算で、税込・税別の違いは考慮しません。税が別表示の価格では最終的な支払額が変わるため、適用される税率は消費税などの税額を計算する計算機で別途足して確認してください。カード会社の割引、ポイント利用は決済時に適用方法が異なるため含めていません。「1円未満の処理」は最終結果に適用され、重ね引きでは各段階で同じ方法で処理されます。店によって端数処理が違い、1〜2円の差が出ることがあります。
結果の活かし方
- 同じ商品を売る複数の店の最終支払額を、この計算機でそろえて比べましょう。表示の割引率が高くても、最終価格が安いとは限りません。
- 購入の目標価格があるなら「定価の逆算」で、現在の販売価格が本来の定価に対してどの程度かを確かめてください。
- 割り勘をするときは、割引後の合計を先に出してからチップ計算機などで分けると整理しやすくなります。
よくある質問
20%引きにさらに10%引きは、30%引きですか?
いいえ。2回目の割引はすでに安くなった価格にかかるので、定価 × 0.8 × 0.9 = 定価 × 0.72、合計28%引きです。
割引価格から定価を逆算するには?
販売価格を(1 − 割引率)で割ります。30%引きの価格が3,500円なら 3,500 ÷ 0.7 = 5,000円。3,500に1.3を掛けた4,550円は誤りです。
定額クーポンは、パーセント割引の前と後のどちらで使うほうが得ですか?
多くの場合は後です。クーポンの金額がそのまま割引になるからです。先に引くと、その後のパーセント割引でクーポンの効果が一部目減りします。実際の順番は店の規約によります。
消費税は含まれた計算ですか?
含まれません。入力した金額をそのまま基準に計算し、税込・税別は区別しません。税が別途加算される場合、最終的な支払額はこの結果と異なります。
販売価格が定価より高い場合は?
割引率モードで販売価格が定価を上回ると、マイナスの割引率ではなく値上げ率として表示します。
「1個買うと1個おまけ」は何%引きですか?
2個を1個分の価格で買うので50%引きと同じです。2+1は約33.3%、3+1は25%です。ただし単価が同じ商品のときだけ成り立ちます。