クリケット基本ルール完全ガイド

クリケットは特に南アジアで絶大な人気を誇る、世界でも有数のスポーツです。初めて見ると見慣れない用語やルールが多いものですが、試合を理解するために欠かせない基本概念をまとめました。

試合の目標

11人ずつの両チームが攻撃(打撃)と守備(投球・守備)を交互に担当し、決められたイニングスまたはオーバーの中で、相手より多くのラン(得点)を取ったチームが勝利します。クリケットは野球とよく比較されますが、打者が2人同時にグラウンドに立ち、ファウルの区域がないため、後ろ側を含めどの方向に打ってもランを取れる点が異なります。試合の前にコイントスを行い、勝ったほうの主将が先攻・後攻を選びます。ピッチの状態や天候、試合形式によって選択が変わります。

ピッチとウィケット

競技場の中央には、長さ22ヤード(約20.12メートル)の長方形の区域、ピッチがあります。両端にはウィケットが立てられ、地面から28インチ(71.12cm)の高さの木製のスタンプ3本と、その上に乗せる小さな棒(ベイル)2本でできています。ボウラー(投手)はこのウィケットを狙って投球し、バッター(打者)はウィケットの前に立って守りながら球を打ち返します。ピッチに引かれた線をクリースと呼び、打者が安全でいられる位置や、投手が球を放つ位置を示します。

オーバーとイニングス

ボウラーが6球(有効な投球)を投げ終えると1オーバーが終了し、次のオーバーは別のボウラーが反対側から投げます。1チームの攻撃が続く単位をイニングスと呼びます。試合形式によって長さは大きく違い、T20は1チーム20オーバー、ODIは50オーバー、テストマッチは1イニングスあたりのオーバー数に制限がなく、最長5日間行われ、通常は各チームが2回ずつ攻撃します。

ラン(得点)の数え方

バッターが球を打ち、2人のバッターが互いの端のクリースへ走って入れ替わると、1往復で1ランが認められます。打球が地面に触れてから境界線を越えれば4ラン、バウンドせずに直接境界線を越えれば6ランが自動的に与えられ、これは野球のホームランに似た見どころの一つとされています。球が境界線まで転がる場合、打者は走る必要がありません。

アウト(ウィケット)の種類

代表的なアウトの種類は次のとおりです。球がウィケットに当たってベイルが落ちるボールド、打球が地面に落ちる前に守備選手に捕球されるキャッチ、打者が脚で球を止めて、審判が、その球がウィケットに当たったはずだと判断するLBW、打者がクリースの外にいる間に、守備側が球でウィケットを壊すラン・アウト、打者がクリースの外に出ているときに、ウィケットキーパーがウィケットを壊すスタンプ(スタンプト)などです。ヒット・ウィケットや守備妨害といった珍しいアウトもあります。通常、1チームの11人のうち10人がアウトになると、イニングスが終了し、1人が残ります。

エクストラ:バットに当たらないランの種類

エクストラは、打者が球を打たずに攻撃側の得点に加わるランです。ワイドは打者が打てないほど外れた投球、ノーボールは前足がラインを越えるなどの反則投球で、いずれも1ランが加算され、投げ直しになります。バイは、球が打者もキーパーも通過して走ったラン、レッグバイは、球が打者の体に当たった後で走ったランです。制限オーバーの試合では、ノーボールのあとにフリーヒットが与えられ、その球ではほとんどの方法でアウトになりません。

打順とパートナーシップ

1チーム11人のうち、常に2人のバッターが同時にグラウンドに出ており、ストライカーとノンストライカーと呼ばれます。1人がアウトになると、次の打順の選手が入ります。2人のバッターが共に積み上げたランをパートナーシップと呼び、チーム全体の得点を伸ばすうえで重要な指標とされています。個人の評価には、平均得点や、100球あたりの得点を示すストライクレートが使われます。

試合形式(テスト・ODI・T20)

クリケットは大きく分けて3つの形式があります。最長5日間行われる伝統的なテストマッチは、1日あたり最低90オーバーが予定され、勝ち、負け、引き分けで終わります。ODI(ワンデーインターナショナル)は、1チーム50オーバーで1日で終わります。T20は1チーム20オーバーで、3時間ほどで終わります。最初のテストマッチは、1877年にメルボルンで行われたオーストラリア対イングランド戦とされています。T20は、短時間で緊張感のある展開が楽しめることから、近年世界的に急速に人気を集めています。

主な守備ポジション

ウィケットのすぐ後ろで球を受けるウィケットキーパーは、グローブをつけることが認められる唯一の守備選手です。バットの縁に当たった球を取るために、打者の近くに立つスリップ、境界線付近を守る外野の選手などがいます。カバー、ポイント、ミッドウィケット、ファイン・レッグなど、聞き慣れない名前の守備位置もあります。キャプテンは打者の傾向やボウラーの球種に合わせて、守備位置を細かく調整します。制限オーバーの形式では、一定の時間帯に外側の円の外に立てる選手の数に制限もあります。

投球の決まり

ボウラーはオーバーハンドで投げ、腕を伸ばして投げつける動作(スローイング)と判断されないよう、肘の伸展は15度までとされています。シーム、スイング、オフスピン、レッグスピンなど、速球と変化球があり、球が跳ねたあとや空中で曲がります。ボウラーは連続して2オーバーを投げることはできません。制限オーバーの試合では、ボウラーごとの投球オーバー数に上限があります。

審判、レビュー、雨天時の扱い

グラウンドには2人の審判がいて、主要な試合では、ビデオ判定を行う第三審判が補助します。国際試合では、判定の見直し制度(DRS)があり、チームは限られた回数だけ判定に異議を申し立てられます。雨で制限オーバーの試合が短縮された場合は、ダックワース・ルイス・スターン方式で、各チームが使える資源(残りオーバー数とウィケット数)に基づいて目標得点を再計算します。

クリケットが世界的に愛される理由

クリケットはイギリスで始まり、インド、オーストラリア、パキスタン、イギリスなど旧英連邦諸国を中心に幅広い人気を誇るスポーツです。特にインドでは、2008年に始まったIPL(インディアン・プレミアリーグ)のようなプロリーグが絶大な人気を集め、代表戦が行われる日には街全体が沸き立つほどの関心を集めます。バット・アンド・ボールの競技は古くからルーツを共有しているため、野球と似て見えますが、打者が2人同時に立ち、方向の制限なく球を打てる点で、まったく異なる観戦の面白さがあります。2028年のロサンゼルス五輪では、クリケットが競技に復帰する予定です。

T20の登場と大衆化

伝統的なテストマッチが最長5日かかるのに対し、近年は1チーム20オーバーで3時間前後で終わるT20形式が大きな人気を集めています。T20の国際試合は2005年から行われており、試合時間が短く、6ランの場面がたびたび見られるため、初めて見る観客でも楽しみやすくなっています。世界各地で、フランチャイズ制のT20リーグが毎年開催されています。

初心者が試合を追うには

まずは結果がすぐに出るT20の試合から見るのがおすすめです。スコアボードでは、チームのラン、失ったウィケット数、投げたオーバー数の3つを見ます。たとえば、「152 for 4 (16.2オーバー)」のように表示されます。追う側の試合では、必要レートで、あとどのくらいの速さで得点しなければならないかが分かります。最初は、ボールド、キャッチ、LBWの2、3種類のアウトを覚え、ボウラーが一球ごとに何を狙っているのかを考えると面白くなります。解説は、戦術や守備位置の変更の理由を教えてくれるので、とても役立ちます。

競技規則について

クリケットの競技規則(Laws of Cricket)は、ロンドンのメリルボーン・クリケット・クラブ(MCC)が管理しており、国際試合の競技条件は国際クリケット評議会(ICC)が定めます。地域のリーグや学校の試合では、境界線を短くする、オーバー数を減らすなど、ルールが調整されることがあります。実際にプレーする場合は、使われているルールの版を確認してください。選手の人数、パワープレイ、投球の制限などの細部が異なります。

よくある質問

クリケットと野球は具体的に何が違うのですか?

クリケットは打者2人が同時にグラウンドに立っており、正面だけでなく四方どの方向に打ってもランを作れる点が野球と大きく異なります。ファウルという概念がないため、打球がどの方向へ飛んでも有効打として認められます。また、打ったあとに必ず走らなければならないわけではなく、一定のストライク数で交代するのではなく、アウトになるまで打ち続けます。

テストマッチは本当に5日間も行われるのですか?

はい、テストマッチはクリケットの中で最も伝統的な形式で、1日最低90オーバーが予定され、最長5日間行われることがあります。勝敗が先に決まれば早く終わりますし、5日経っても勝敗がつかない場合は引き分けです。最終イニングス終了時に得点が同じなら、まれに起こる「タイ」になります。

ダック(duck)とは何ですか?

打者が0点でアウトになることです。最初の1球でアウトになることをゴールデンダックと呼びます。クリケットならではのユニークな用語の一つです。

メイデン・オーバーとは何ですか?

ボウラーの6球で、攻撃側が打者のバットからラン(得点)を取れなかったオーバーです。優れた投球の指標とされ、ボウラーの記録にもメイデンの数が記されます。

両チームの得点が同じ場合はどうなりますか?

制限オーバーの試合では、各チームが1オーバーずつ攻撃するスーパーオーバーで決着をつけることがあります。テストマッチでは、タイは非常にまれで、時間切れで引き分けになるのとは別の結果です。