主な画像ファイル形式の基礎知識

画像を保存・書き出しするとき、形式の選び方を間違えると、画質・ファイルサイズ・透過背景のいずれかが思ったとおりにならないことがあります。ここでは代表的な画像形式の違いを整理します。

JPG/JPEG:非可逆圧縮で、写真向き

非可逆圧縮のアルゴリズムを採用しており、ファイルサイズを大きく圧縮できるため、色のグラデーションが豊かな写真系の画像に向いています。1992年に規格化された古い形式で、ほぼすべての機器やソフトで開けます。欠点は透過背景に対応していないことと、保存し直すたびに圧縮で画質がわずかに劣化していくことです。同じファイルを何度も編集する用途には向きません。

PNG:可逆圧縮で、透過背景に対応

可逆圧縮なので、何度保存しても画質が劣化せず、透過チャンネルにも対応しています。アイコンや透過背景のデザイン素材、文字の輪郭をくっきり保ちたいスクリーンショットなどでよく使われます。GIFに代わる形式として1990年代に登場しました。欠点は、同程度の画像でもJPGよりファイルサイズが大きくなりやすいことです。

GIF:色数は少ないが、簡単なアニメーションが作れる

使える色数は最大256色までで、色数の多い写真には向きませんが、複数の画像を組み合わせて単純なループアニメーションを作れます。1987年に登場した古い形式で、リアクション画像や短い動きの表現として今も使われています。

SVG:ベクター形式で、拡大縮小しても劣化しない

ピクセルの格子で構成される形式と違い、SVGは数式のパスで図形を記述するため、どれだけ拡大縮小してもギザギザやぼやけが生じません。サイズを変えてもくっきり表示したいアイコンやロゴによく使われます。一方で、写真のようにピクセル単位の細かな情報が多い画像の表現には向きません。

WebP:サイズと画質を両立した比較的新しい形式

Googleが開発し、2010年に発表された形式で、非可逆・可逆どちらの圧縮にも対応し、GIFのような簡単なアニメーションも作れます。同程度の画質ならファイルサイズはJPGやPNGより小さくなることが多く、現在は主要なブラウザや多くのプラットフォームで広くサポートされています。ただし、一部の古いソフトや機器では完全に対応していない場合もあります。

AVIF:さらに高い圧縮率をねらう新しい形式

動画コーデックのAV1をもとにした画像形式で、同程度の画質ならWebPよりも小さくできる場合があるとされています。対応するブラウザは増えていますが、編集ソフトや古い環境では開けないことがあります。使う場合は、対応していない環境向けにJPGやWebPも用意しておくのが安全です。

HEIC/HEIF:スマートフォンで見かける形式

iPhoneが2017年ごろから写真の標準形式として採用したことで、広く知られるようになりました。同程度の画質ならJPGより小さくなりやすい反面、Windowsや一部のサービスでは追加の対応が必要になることがあります。他の人に共有するときは、JPGへ変換して渡すと受け取る側が困りません。

TIFFとBMP:印刷や編集の現場で使われる形式

TIFFは印刷や出版、スキャンデータの保管でよく使われる、画質重視の形式です。BMPはほとんど圧縮されない単純な形式で、ファイルサイズが非常に大きくなります。ウェブで使うことはほとんどなく、必要な場面でだけ使えば十分です。

透過背景に対応しているかどうかが選ぶ基準になりやすい

透過背景を維持したいときは、アルファチャンネルに対応したPNG、WebP、AVIFや、一部のGIFが適しています。JPGは透過に対応していないため、透過背景の素材をJPGで書き出すと、自動的に単色の背景で塗りつぶされます。

「万能な1形式」を探さず、用途に応じて選ぶ

写真系のコンテンツはJPGかWebPを、アイコンや透過背景が必要なデザイン素材はPNGかSVGを優先して検討します。さまざまなサイズで表示するロゴ系の図形はSVGが向いています。あらゆる場面で最適な万能形式は存在しません。

非可逆圧縮と可逆圧縮の本質的な違い

非可逆圧縮は、圧縮の過程で人の目には気づきにくい細部の情報を一部間引くことで、ファイルサイズを小さくします。圧縮率を高くするほど、画質の劣化も目立ちやすくなります。一方、可逆圧縮はより効率のよい符号化でサイズを小さくする方式で、復元した画像は元のファイルと完全に一致し、細部が失われることはありません。

ラスター画像とベクター画像は表現方法がまったく違う

JPG、PNG、GIF、WebPはいずれも基本的にはラスター(ビットマップ)形式で、格子状に並んだピクセルで構成されているため、一定以上に拡大するとギザギザやぼやけが生じます。一方、SVGはベクター形式で、数式によって形状・色・パスを記述するため、どの拡大率でもエッジがくっきりしたままです。アイコンやロゴにベクター形式が向いているのはこのためです。

ピクセル数とファイルサイズ、画質の関係

画像の大きさは「横何ピクセル×縦何ピクセル」で表されます。ピクセル数が増えるほど、ファイルサイズも一般に大きくなります。ウェブ上で表示する画像は、実際の表示サイズより極端に大きいものを使うと、読み込みが遅くなる原因になります。また、dpiは主に印刷のための目安で、画面表示ではピクセル数のほうが重要です。JPGの画質設定を少し下げるだけで、見た目はほとんど変わらないのにファイルサイズが大きく減ることもあるため、書き出し時に目視で確認しながら調整するとよいでしょう。

形式を変換するときの注意点

JPGからPNGに変換しても、すでに失われた細部は戻りません。逆に、PNGからJPGに変換すると、透過部分が単色で塗りつぶされ、さらに画質もわずかに劣化します。変換を繰り返すと画質が下がり続けるので、元のデータは必ず別に保管し、必要な形式はそのつど元データから書き出すようにしましょう。SNSなどにアップロードすると、サービス側で再圧縮されることもあるため、あらかじめ適切なサイズで用意しておくと安心です。

よくある質問

ウェブサイトの画像はJPGとWebP、どちらを使うべきですか?

対象のプラットフォームや訪問者のブラウザが広くWebPに対応しているなら、同程度の画質でWebPのファイルサイズはJPGより小さくなることが多く、ページの表示速度の向上に役立ちます。古いブラウザやソフトとの互換性も重視する場合は、JPGのほうが無難です。実際の訪問者の環境に応じて判断してください。

JPGをPNGに変換すれば、失われた画質を取り戻せますか?

取り戻せません。JPGの保存時に生じた画質の劣化は元に戻せず、PNGへの変換は現在の画像を可逆圧縮の形式で保存し直すだけです。すでに失われた細部の情報が復元されるわけではありません。

スクリーンショットはPNGとJPGのどちらがよいですか?

文字や線がくっきり見えることが多いので、一般にPNGのほうが向いています。JPGは文字の周りににじみが出やすいため、画面の文字を読みやすく保ちたいときには不向きなことがあります。

ロゴを複数のサイズで使うには、どの形式がよいですか?

SVGが向いています。拡大縮小しても劣化しないため、名刺からポスターまで同じファイルで使い回せます。ただし、使う場所によってはPNGなどのラスター形式を求められることもあるので、提出先の指定を確認してください。