具体的な投資戦略と合わせて理解する
ドルコスト平均法のような機械的で定期的な投資手法は、これらのバイアスの多くを同時に抑える実践的な対策のひとつであり、割安に見える銘柄を回復を待ちながら長く持ちすぎてしまうバリュートラップ(価値の罠)という、いわば裏返しの過ちと合わせて理解しておくとよいでしょう。毎月決まった額を自動で積み立てる仕組みは、相場の見通しに感情が入り込む余地を小さくする効果が期待できます。ただし積立投資にも元本割れのリスクはあり、あらゆるバイアスを消すわけではありません。
バイアスと付き合うための実践的な工夫
バイアスを知っていても、それだけでは防げないというのが行動ファイナンスの教えです。そこで有効なのは、感情が動く前にルールを決めておく工夫です。たとえば、購入時に「どんな状況になったら売るか」を文章で書いておく、投資判断を記録して定期的に見返す、売買は感情の高ぶった当日ではなく一晩置いてから行う、といった方法があります。また、資産配分の比率をあらかじめ決めて年に一度だけ見直せば、日々の値動きに振り回されにくくなります。
行動ファイナンスの背景
従来の経済学は人間が常に合理的に判断すると仮定してきましたが、行動ファイナンスは実際の人間の心理を取り入れて市場を説明しようとする分野です。カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞し、セイラーも2017年に同賞を受賞しています。なお、このページは行動ファイナンスの一般的な概念を紹介する教育目的のコンテンツであり、特定の銘柄や売買タイミングを推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
よくある質問
こうしたバイアスを実践的に減らす最も簡単な方法は何ですか?
目標利益率や損切りラインなどの売買ルールをあらかじめ明確に決めて機械的に守ること、そして売買のたびにその理由を短くメモしておくことが役立ちます。理由を書き残しておけば、後からその判断が本当に感情に流されたものだったのかを振り返る材料になります。
行動ファイナンスは誰が作った学問ですか?
特定の一人が作ったわけではありませんが、人間が常に合理的に判断すると仮定する伝統的な経済学とは異なり、実際の人間の心理的バイアスが経済的な意思決定にどう影響するかを研究する分野です。ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによるプロスペクト理論の研究が、その代表的な基礎とされています。
プロの投資家でもバイアスの影響を受けますか?
受けると考えられています。経験や知識があっても、人間の心理的な傾向そのものがなくなるわけではないためです。そのため機関投資家の多くは、チェックリスト、複数人による審査、リスク管理ルールといった仕組みで個人の感情を抑える工夫をしています。個人投資家も、こうした仕組みを簡易的に取り入れることができます。
損切りはルール通りにすべきですか?
一律に正解があるわけではありません。損切りルールは感情的な判断を避けるための道具ですが、長期の積立・分散投資では、短期の値動きで機械的に売ることが合わない場合もあります。投資期間や目的に合わせて、自分に合ったルールを事前に決めておくことが重要です。
バイアスを学べば、投資で必ず勝てるようになりますか?
そうとは限りません。バイアスを知ることは自分の判断の落とし穴に気づく助けになりますが、将来の相場を予測できるようになるわけではありません。大切なのは、無理のないリスクの範囲で、長期・分散・低コストといった基本を守ることです。