血中アルコール濃度(BAC)とは
血中アルコール濃度(BAC)は、血液中に含まれるアルコールの割合です。パーセントで示すことが多く、0.05%なら血液100mlあたり約0.05gという意味です。 国や機関によって、血液1mlあたりのmgや呼気1リットルあたりのmgなど表記が異なるため、数値を比べる前に単位を確認する必要があります。 呼気検査は吐く息のアルコールから血中濃度を推定し、血液検査は血液そのものを分析します。このページはどちらでもなく、体重・性別・飲んだ量の三つだけから出した理論値です。
ウィドマーク式の仕組み
スウェーデンのエリック・ウィドマークが20世紀前半にまとめた考え方で、今も教育の場でよく紹介されます。このツールで使う形は次のとおりです。
BAC(%) = アルコール(g) ÷ (体重(kg) × 1000 × r) × 100 − β × 経過時間(h)
- アルコール(g) = 容量(ml) × 度数(%) ÷ 100 × 0.789。0.789はエタノールの密度(g/ml)です。350mlの5%ビールなら 350 × 0.05 × 0.789 ≈ 13.8gになります。このツールでは14gを標準ドリンク1杯としています。標準ドリンクの定義は国によって異なるため、杯数ではなくグラム数で比べてください。
- r(分布係数): アルコールは体内の水分に溶けて広がり、脂肪にはほとんど広がりません。体内の水分比率が低いほど同じ量でも濃くなります。ここでは一般に使われる平均値として、男性0.68、女性0.55を使っています。実際は体脂肪率などで個人差があります。
- β(消失速度): 肝臓がアルコールを分解して減っていく速さです。ここでは1時間あたり0.015%と仮定しています。実際の速度は人や状況で変わるため、測定値ではなく仮の値と考えてください。
言い換えると、飲んだアルコールの質量を体内の水分の質量で割り、そこから分解された分を引く計算です。ここから分かることがあります。 体重が軽いほど同じ量でも高い値になり、この平均値では同体重の女性は男性の約1.24倍(0.68÷0.55)になります。 分解はほぼ一定の速さで進むため、コーヒーや冷水、入浴などで早く抜くことはできません。 また、この式は飲み始めから分解が始まると単純化していますが、実際は吸収されながら濃度が上がり、ピークを越えて下がっていきます。 そのため、特に飲んだ直後は実際より低く出ることがあります。
お酒ごとの純アルコール量(ビルド時に計算)
「1杯」の量は一定ではなく、基準になるのはエタノールのグラム数です。下の表は容量×度数×0.789で計算した値で、右端は14gを1杯としたときの標準ドリンク数です。
| お酒 | 容量(ml) | 度数(%) | 純アルコール(g) | 標準ドリンク換算 |
|---|---|---|---|---|
| ビール 350ml缶(5%) | 350 | 5 | 13.8 | 0.99 |
| ビール 500ml缶(5%) | 500 | 5 | 19.7 | 1.41 |
| ワイン 1杯 125ml(12%) | 125 | 12 | 11.8 | 0.85 |
| 日本酒 1合 180ml(15%) | 180 | 15 | 21.3 | 1.52 |
| 焼酎 100ml(25%) | 100 | 25 | 19.7 | 1.41 |
| ウイスキー シングル 30ml(40%) | 30 | 40 | 9.5 | 0.68 |
| ハイボール 1杯 350ml(7%) | 350 | 7 | 19.3 | 1.38 |
同じ種類でも度数は商品により違うので、ラベルの表示を確認し、迷うときは杯数を多めに見積もってください。
標準ドリンク別の推定表
各セルは「一度にすべて吸収された場合のピーク推定値(%) / 毎時0.015%で0になるまでの理論時間」です。これは式の計算結果であり、何かをして安全な時刻ではありません。
男性(r = 0.68)
| 杯数 | 50kg | 60kg | 70kg | 80kg | 90kg |
|---|---|---|---|---|---|
| 1杯 | 0.041 / 2.7h | 0.034 / 2.3h | 0.029 / 2.0h | 0.026 / 1.7h | 0.023 / 1.5h |
| 2杯 | 0.082 / 5.5h | 0.069 / 4.6h | 0.059 / 3.9h | 0.051 / 3.4h | 0.046 / 3.1h |
| 3杯 | 0.124 / 8.2h | 0.103 / 6.9h | 0.088 / 5.9h | 0.077 / 5.1h | 0.069 / 4.6h |
| 4杯 | 0.165 / 11.0h | 0.137 / 9.2h | 0.118 / 7.8h | 0.103 / 6.9h | 0.092 / 6.1h |
| 5杯 | 0.206 / 13.7h | 0.172 / 11.4h | 0.147 / 9.8h | 0.129 / 8.6h | 0.114 / 7.6h |
| 6杯 | 0.247 / 16.5h | 0.206 / 13.7h | 0.176 / 11.8h | 0.154 / 10.3h | 0.137 / 9.2h |
女性(r = 0.55)
| 杯数 | 50kg | 60kg | 70kg | 80kg | 90kg |
|---|---|---|---|---|---|
| 1杯 | 0.051 / 3.4h | 0.042 / 2.8h | 0.036 / 2.4h | 0.032 / 2.1h | 0.028 / 1.9h |
| 2杯 | 0.102 / 6.8h | 0.085 / 5.7h | 0.073 / 4.8h | 0.064 / 4.2h | 0.057 / 3.8h |
| 3杯 | 0.153 / 10.2h | 0.127 / 8.5h | 0.109 / 7.3h | 0.095 / 6.4h | 0.085 / 5.7h |
| 4杯 | 0.204 / 13.6h | 0.170 / 11.3h | 0.145 / 9.7h | 0.127 / 8.5h | 0.113 / 7.5h |
| 5杯 | 0.255 / 17.0h | 0.212 / 14.1h | 0.182 / 12.1h | 0.159 / 10.6h | 0.141 / 9.4h |
| 6杯 | 0.305 / 20.4h | 0.255 / 17.0h | 0.218 / 14.5h | 0.191 / 12.7h | 0.170 / 11.3h |
検算済みの計算例
例1 男性70kg、2杯、1時間後。 アルコール28g。28 ÷ (70 × 1000 × 0.68) × 100 = 0.0588%。0.015 × 1 を引いて0.0438%。ピークから0になる理論時間は約3.9時間です。
例2 女性60kg、3杯、2時間後。 アルコール42g。42 ÷ (60 × 1000 × 0.55) × 100 = 0.1273%。0.015 × 2 = 0.03 を引いて0.0973%。理論上0になるまで約8.5時間です。
例3 男性85kg、4杯、3時間後。 アルコール56g。56 ÷ (85 × 1000 × 0.68) × 100 = 0.0969%。0.045 を引いて0.0519%。理論上0まで約6.5時間です。 この数値が何かの基準より上か下かは判断材料になりません。基準は国や地域によって異なり、推定値では実際の位置を確かめられないからです。
推定値を運転の判断に使ってはいけない理由
- 個人差が大きい。 体脂肪、肝臓の酵素活性、体質、服薬、疲労でrとβが変わり、同じ体重・同じ量でも実際の濃度は大きく異なります。
- 吸収速度を考慮していない。 空腹だと吸収が速くピークが高く、食事とともに飲むとピークは低く遅くなります。
- 入力が不確か。 グラスの実際の量、おかわり、度数、時刻の記憶は曖昧で、わずかな誤りが結果を大きく変えます。
- 基準値を下回っていても安全とは限らない。 反応時間や注意力は低い濃度でも影響を受けることがあります。
- 公式の判定は検査で行われる。 取り締まりでは呼気または血液の検査が基準で、オンラインの推定値には意味がありません。
- 危険な側に外れやすい。 この式は最初から分解を引くため、吸収中は実際より低く出ることがあります。
運転が認められる濃度の基準は国や地域、運転者の区分によって異なるため、このページでは「これなら大丈夫」という数値を示しません。 守るべき原則はひとつ、飲んだら運転しないです。このツールは体重や性別、量の関係を知るためのもので、次の運転の時刻を決めるためのものではありません。
よくある誤解
- コーヒーや入浴で酔いが早く醒める: 眠気や気分は変わっても、肝臓の分解速度は変わらず、血中濃度は同じペースでしか下がりません。
- 寝れば抜ける: 睡眠は分解を速めません。遅くまで多く飲んだ場合、朝にも相当量が残ることがあります。
- ビールは軽い: 500mlの5%ビールは約19.7gで、標準ドリンク1杯を超えます。量も度数と同じくらい重要です。
- お酒に強ければ濃度も低い: 酔いの自覚が鈍るだけで検査の数値は変わらず、むしろ自分の状態を過小評価しやすくなります。
この計算機が向かない場合
妊娠中の方、肝臓の病気がある方、アルコールと相互作用のある薬を飲んでいる方、飲酒について悩んでいる方には、一般式の推定は意味がなく、誤った安心感を与えるおそれがあります。 医療機関や地域の相談窓口に相談してください。節度ある飲酒の目安は、お住まいの国の保健当局の最新の案内を確認してください。
結果の使い方
体重や性別を変えて影響の大きさを比べたり、表で度数の違うお酒の量を比べたりする使い方が適しています。帰りの交通手段は飲み始める前に決めておきましょう。 このページは教育目的の参考情報で、医療や法律の助言ではありません。入力値はブラウザ内で処理され、外部に送信されません。
よくある質問
この結果で運転できるか判断してよいですか?
いいえ。平均値に基づく大まかな推定で、個人差や吸収速度、入力の誤りにより実際とは大きく異なる場合があります。公式な判定は呼気・血液の検査で行われます。飲酒したら運転しないでください。
標準ドリンク1杯とはどのくらいですか?
このツールでは純アルコール14gです。350mlの5%ビールや、125〜150mlのワイン1杯がおおよその目安になります。定義は国によって異なるため、表でグラム数に換算してください。
同じ量でも女性のほうが高く出るのはなぜですか?
平均すると女性は体内の水分比率が低く、分布係数が小さい(0.55、男性は0.68)ためです。あくまで平均で、個人によって異なります。
食事をしながら飲むと結果は変わりますか?
食べながらだと吸収が遅くなりピークが低くなる傾向がありますが、このツールは食事を考慮していません。
翌朝にもアルコールが残ることはありますか?
あります。夜遅くまで多く飲むと、表の理論消失時間が8〜10時間に及ぶこともあり、実際の時間は人によって違います。推定値で運転の時刻を決めてはいけません。