アメリカ英語とイギリス英語、押さえておきたい違い

アメリカ英語とイギリス英語は互いに通じるものの、混乱を招くような違いもいくつかあります。つづり、語彙、文法、発音、日付や単位の書き方まで、特によく出てくる違いを紹介します。

つづり:「-our」と「-or」

イギリス式では「-our」をそのまま残すことが多く(colour、favourite、honour)、アメリカ式では「u」を落とします(color、favorite、honor)。両者の違いの中でも、特に目につきやすく一貫した例です。

つづり:「-re」と「-er」

イギリス式では語尾を「-re」にする単語があり(centre、theatre、metre)、アメリカ式では並びを入れ替えて「-er」で終わらせます(center、theater、meter)。

つづり:「-ize」と「-ise」

アメリカ英語は「-ize」(organize、realize)を使うのが一般的です。イギリス英語では「-ise」(organise、realise)が多いものの、一部のスタイルガイドでは「-ize」も認められており、この違いは他の項目ほどはっきりとは分かれません。

ほかのつづりのパターン

-ense/-ence(defense/defence)、-og/-ogue(catalog/catalogue)、子音の重ね方(traveling/travelling、canceled/cancelled)、-yze/-yse(analyze/analyse)なども一貫した違いです。tire/tyre、aluminum/aluminium、gray/greyのような単語単位の違いもあります。

日常語彙の違い

代表的な例として、elevator/lift(エレベーター)、apartment/flat(アパート)、truck/lorry(トラック)、cookie/biscuit(クッキー)、trunk/boot(車のトランク)、gas/petrol(ガソリン)、vacation/holiday(休暇)があります。ほかにも、sidewalk/pavement(歩道)、trash/rubbish(ごみ)、fall/autumn(秋)、subway/underground(地下鉄)などがあります。文脈からたいてい伝わります。

意味がずれる単語には注意

「pants」は、アメリカではズボンですが、イギリスでは下着を指します。「biscuit」は、イギリスでは甘いクッキーですが、アメリカでは柔らかいパンの一種です。「table」は、動詞として使うと、アメリカでは議案を棚上げにすることを、イギリスでは議論のために提出することを意味します。誤解を避けるため、迷ったときは別の言葉で言い換えると安心です。

日付の順序:月が先か、日が先か

アメリカでは月/日/年の順(4/7/2026)で書き、イギリスをはじめとする多くの英語圏の国では日/月/年の順(7/4/2026)で書きます。「4/7」のような表記は、どちらの慣習かによって4月7日にも7月4日にもなるため、国をまたぐ書類では月を英単語で書くか、2026-04-07のように年から書くISO形式が安全です。

階数の数え方が異なる

アメリカでは地上の階を「1階(first floor)」と呼びます。イギリスでは同じ階を「グラウンドフロア(ground floor)」と呼び、その1つ上が「first floor」です。ホテルやビルでよく混乱を招きます。

集合名詞:単数扱いか複数扱いか

イギリス英語では「team」や「government」のような集合名詞を複数として扱うことが多く(the team are playing well)、アメリカ英語ではほぼ常に単数として扱います(the team is playing well)。

過去分詞:gotとgotten、learnedとlearnt

アメリカ英語ではgetの過去分詞に「gotten」を使います(I've gotten better)が、イギリス英語では「got」です。また、イギリス英語ではlearnt、spelt、burntのような-tの過去形も多く、アメリカ英語ではlearned、spelled、burnedが一般的です。

イギリス英語は現在完了をよく使う

イギリス人は「Have you eaten yet?」「I've just seen him」のように現在完了を使うことが多く、アメリカ人は「Did you eat yet?」「I just saw him」のように過去形を使う傾向があります。どちらも正しく、規則というより好みの差です。

引用符と句読点の位置

アメリカ式は二重引用符を使い、ピリオドやカンマを閉じ引用符の内側に置きます。イギリス式は一重引用符を使うことが多く、句読点は引用された内容の一部でない限り引用符の外側に置きます。

発音:Rの音とTの音

アメリカ英語の多くは語末や子音の前のRを発音しますが(car)、イギリス英語の多くは発音しません。また、アメリカ英語では母音に挟まれたTが「ラ」に近い軽い音になり(waterがウォーラーのように聞こえる)、イギリス英語ではTをはっきり発音します。scheduleやtomatoの発音も異なりますが、どちらも間違いではありません。

日本の学習環境と英語の種類

日本の学校英語や教材は、アメリカ英語に寄っていることが多いとされますが、英検、TOEIC、IELTSなどの試験では、どちらのつづりも一貫していれば認められるのが一般的です。ただし、試験ごとに指示が異なるため、受験前に要項で確認してください。海外の大学や企業に提出する書類では、相手の国の表記に合わせるのが無難です。

そもそも、なぜつづりが分かれてしまったのか

アメリカ式のつづりの多くは、1800年代初頭のノア・ウェブスターの辞書やつづり改革にさかのぼります。独自のアメリカ的アイデンティティを印刷物の上で確立する取り組みの一環として、イギリス式の慣習をいくつか意図的に簡略化・変更したものです。時間の経過とともに偶然生じた違いではありません。

どちらが「正しい」わけでもない

アメリカ英語もイギリス英語も、同じ言語の標準化された変種であり、一方が正しく他方が崩れたものというわけではありません。スタイルガイドや出版社、国によってどちらの慣習に従うかが異なるだけで、それぞれの場でどちらも同じように通用します。

どちらを使うかより、一貫性が大切

多くの学習者や書き手にとっては、どちらの変種を選ぶかよりも、一貫していることのほうが重要です。「colour」と「organize」を混ぜたり、1つの文書の途中で日付の書き方を変えたりすると、読み手には統一感のなさとして映ります。ワープロソフトの校正言語を「英語(米国)」か「英語(英国)」に設定しておくと、混在を自動で見つけてくれます。カナダ英語は両者の中間的な特徴を持ち、オーストラリアやニュージーランドの英語はイギリス式のつづりが基本です。

よくある質問

英語が母語ではない場合、どちらを学ぶべきですか

どちらも十分に正当な選択です。大切なのは、どちらか1つを選んで一貫して使うことです。1つの文章でつづりや慣習を混ぜると、文体の選択ではなく間違いに見えてしまいます。

アメリカ式のつづりは、イギリス式を単に「簡略化」したものですか

「colour」から「u」を落とすなど、簡略化された場合もありますが、そうとは限りません。イギリス式のほうが短かったり単純だったりする場合もあるため、どちらかが簡単だと決めるより、並行する2つの標準だと考えるほうが正確です。

アメリカ英語とイギリス英語の話者は、実際に互いの言葉を理解するのに苦労しますか

深刻な意味ではほとんど苦労しません。違いの多くは語彙の置き換えやつづりの差で、文脈からすぐにわかります。ただし、アメリカでは「ズボン」、イギリスでは「下着」を意味する「pants」のように、実際に誤解が生じる語もいくつかあります。

「gotten」は正しい英語ですか

アメリカ英語では正しい表現です。イギリス英語では「got」を使いますが、「ill-gotten gains」のように、イギリスでもgottenが残っている表現があります。